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第七章・18
「おかしい」
18時50分になっても、輪の姿が現れない。
今日は、補習はないはずだが。
遅くとも18時には、ちゃんと下校できるはずだ。
「何か、あったか?」
あいつのことだ。
途中で具合の悪くなっている人間などと出会ったら、俺のことは放っておいて家まで送ってやるような奴だ。
それとも、恒例のいじめ相談か?
放課後に話し込んで愚痴など聞いているうちに、この時刻になってしまったとか。
「いや、もしや」
まさか、自動車事故にでも巻き込まれて……。
悪い考えは、際限なく比呂士を悩ませる。
ついに彼は、自宅マンションへ飛んだ。
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