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第七章・21

『ネコ、どうした。輪が見つかったのか?』  ネコは、比呂士の使い魔だ。  基本、背くことは許されない。  言葉を濁すのが、やっとだった。 『ヴェルフェル様、輪は学校で人間に酷い目に遭わされてるニャ……』 『酷い目?』 『それは……、言えないニャ……』  妙だな。 「とにかく、学校だ」  そこまで行けば、輪の気配をたどることは容易い。  比呂士は黒い翼を広げると、窓から飛んだ。

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