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第七章・27
輪がシャワーを浴びていると、静かにドアが開いた。
「え? あ!」
素裸の比呂士が、そこには立っていた。
「身体を洗ってやろう。隅々まで、綺麗にな」
「そんな、いいです! 自分でやれますから!」
遠慮するな、と比呂士は背後から輪を抱きしめた。
シャワーの湯とは違う、温かさ。
比呂士の体温を感じて、輪は大人しく身を任せた。
「どうした?」
「何だかすごく、落ち着くんです」
もう少し、このままでいてください……。
とても、安心する。
人間といるより、心地いい。
(比呂士先生は、悪魔なのに)
神よ、これは罪でしょうか。
それでも、比呂士の腕の中は温かかった。
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