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第八章・2

「でも、比呂士先生。急に外食しよう、なんて。どうしてですか?」 「輪。今日は、何の日だ?」 「ホワイトデーです」  輪は、バレンタインデーにクラス全員に手作りトリュフをプレゼントした。  そのお返しが、今日はクラス全員から貰えたのだ。 「僕のやったこと、無駄にならなかったみたいで、良かったです」  停学を喰らった、元いじめグループの男子たちからも、クッキーを貰ったと言う。  彼らはその後、山本をいじめる事もなく、また他の人間を標的にすることもなく、穏やかに過ごしている。 「お前は本当に、よく頑張っているよ」 「比呂士先生に褒められても、天使にはなれないなぁ」  

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