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第八章・3
大悪魔・ヴェルフェルの正体を持つ、比呂士。
そんな彼の所有物になって、同棲生活を始めるようになって、数か月が過ぎていた。
それでも天使になるための修行を怠らない、天使候補生の輪。
(そろそろ諦めさせて、魔界へ連れて帰ろうか)
人間界で悪魔と付き合っている、なんてことが天界に知れれば、輪は強制的に連れ戻されるだろう。
そして……。
そこまで考えて、比呂士は軽く首を振った。
そんなこと、考えたくもない。
「どうしたんですか?」
あどけない、輪の声。
「いや、何でもない」
それより、と比呂士は話を元に戻した。
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