116 / 159
第八章・4
「外食は、私からのお返しだ」
「え?」
「バレンタインデーに、私もお前にトリュフを貰っただろう。その、お返しだ」
美味しかったぞ、あのトリュフ。
輪の顔が、ぱあっと晴れた。
「ありがとうございます!」
それから、これも。
比呂士は、輪に小箱を渡した。
開けてみると、中には指輪が入っていた。
「すごい……」
繊細な透かし彫りの入った、由緒ありそうな指輪だ。
小さいが、純度の高い石が数個はめられて煌めいている。
「我が一族に伝わる宝具の一つだ」
ともだちにシェアしよう!