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第九章 発覚と決意と

 4月、輪は3年生になっていた。 「新学期! 新しいクラスで、新しい友達はできるかなぁ!?」 「ずいぶんと張り切っているな。そんなに嬉しいか」  はい、と返事は明るい。 「浮かれるのはいいが、本分を忘れていやしないか?」 「本分?」  やれやれ、と比呂士は呆れ顔だ。 「あと一年、人間界で修行を終えると、天使になれるかどうかが解るのだろう?」 「あ……」  忘れてたわけじゃないんですけど、と輪の表情は複雑だ。  今の生活が、あまりにも楽しくて。心地よくて。  つい、ずっとこのままでいたい、なんて考えてしまう。  そんなこと、許されるわけないのに。

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