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第九章・11

「あ、あぁ……。あ……、先生……」  余韻にヒクつく輪を優しく腕に抱き、比呂士は囁いた。 「今から、怖い話をするが。いいか?」 「はい……」 「天使候補生は、天界の教えに背くことを仕出かせば、消される」 「消、す?」  そうだ、と比呂士は輪の髪を撫でながら続けた。 「シャボン玉のように、すっかり消えてなくなるんだ」  ふるっ、と輪が震えたようだった。  比呂士は、彼を抱く腕の力を強めた。 「お前が巡視官にすぐさま消されずに済んだのは、大悪魔・ヴェルフェルの寵愛を受けているからだ」 「比呂士先生の?」 「私のお気に入りを取り上げれば、怒りで天界に戦争を仕かけ兼ねないからな」

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