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第九章・12

 今度は、輪が強く比呂士を抱きしめて来た。 「ごめんなさい、先生。ごめんなさい……」 「何を謝る。お前は何にも、悪くないんだ」  だから、消させてたまるか。  シャボン玉のように、簡単に消させてたまるか。 「私の全てをかけて、輪を守る」 「先生……」  二人は目と目を合わせた。  そして、唇を重ねた。  甘く、優しく、温かなキスをした。

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