138 / 159
第十章・3
「先生、おめかしして何処へ行くんです?」
ワンランク上のスーツでドレスアップした比呂士を見て、輪はからかうような声をかけた。
「天界へ、行ってくる」
「ええっ!」
悪魔が、天界へ!?
「先生、ダメです! 門番に、攻撃されます!」
それには笑って比呂士は、大丈夫だ、と言う。
「低級な悪魔ではそうかもしれんが、私の場合は下手に攻撃すると厄介なのでな」
「でも!」
心配するな、と比呂士は輪の額に口づけた。
「ちょっと様子を見て来るだけだ。すぐに帰る」
ともだちにシェアしよう!