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第十章・4

 輪は、不安だった。  天界の、天使様たちの攻撃力は半端ない。 (いくら大悪魔・ベルヘルでも……)  もし、二度と彼と会えなくなったりしたら……! 「僕も行きます! 連れて行ってください!」 「何っ!?」 「心配で、比呂士先生を一人で行かせられません!」  参ったな。  弱った顔の、比呂士だ。  輪はと言うと、その気満々で目をきらつかせている。 「解った。お前を一人残していくのも、不安だ」  二人は、マンションの窓から翼を広げて飛んだ。  高く高く、天界まで羽ばたいた。

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