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第十章・5
「……まただ」
マヌエルフは、爪を噛んだ。
輪のデータで、どうしてもアクセスできない箇所がある。
単なるエラーか、バグか。
それとも……。
「機密、の可能性もある」
あの薄っぺらい天使候補生に、そんな重要な背景があるとは思えないが。
そこへ、警報が鳴った。
「どうした」
小型通信システムで、マヌエルフは第三の門へ連絡を繋いだ。
『かなり強大な魔力を持つと思われる悪魔が、天使候補生と共に現れました!』
「ヴェルフェルだな」
マヌエルフは、にやりと笑った。
面白いことになって来た。
そして4枚の翼を広げると、第三の門へ飛んだ。
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