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第十章・7
「待たせたな」
「マヌエルフ様!」
巡視官の到着に、第三の門は沸いた。
羽が4枚ある中級クラスの天使なら、あの不埒物を撃退してくれるに違いない。
「巡視官様!」
「まさか、悪魔と共に乗り込んでくるとはな。候補生108号」
違うんです、と輪はまるで比呂士を守るかのように彼の前に立った。
「お話しをしたいと思って。僕は、どんな罰でも受けます! だから、比呂士先生は無事に帰してあげてください!」
「輪」
これでは、立場が逆だ。
確かに、話しをしに来た、という点では同じだが。
そこへ、マヌエルフの冷酷な声が響いた。
「どんな罰でも受ける、と言ったな」
その刹那、輪の眼は眩しい光に射られた。
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