143 / 159

第十章・8

「罰を受けるがいい」  ひらめかせたマヌエルフの手から、消去光が放たれた。  光は迷わず、一瞬の間に輪の元で輝いた。 「あ……」  輪は、比呂士の言葉を思い出していた。 『天使候補生は、天界の教えに背くことを仕出かせば、消される』 『シャボン玉のように、すっかり消えてなくなるんだ』  僕、消えちゃうの?  シャボン玉みたいに、ぱちん、って。  だが次の瞬間、輪はマヌエルフの消去光を完全に中和して消してしまった。 「何ッ!?」  マヌエルフが眼を見張ると、輪の指に光る指輪が妖しい煌めきを放っている。 「指輪が、さっそく役に立ったな」 「比呂士先生!」  比呂士は悠然と笑い、マヌエルフを挑発し始めた。

ともだちにシェアしよう!