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第十章・11
「遅かったか」
第三の門に、大天使が到着した。
「アウレリオ様!」
「マヌエルフ様が、悪魔に消されてしまいました!」
「仇を! 仇を御討ちください!」
わあわあと大騒ぎの天使たちをかき分け、アウレリオは比呂士の前へ進んできた。
「大悪魔・ヴェルフェル。何用かな? なぜ私の部下を消した?」
「とんだご挨拶だな。先に仕掛けてきたのは、そちらだ」
アウレリオは、目の前の悪魔からびしびしと圧を感じていた。
(出方しだいによっては、彼の怒りを買う)
いや、すでにプチご立腹のようだ。
天界としては、できるだけ穏便に事を運びたいところだが。
「ヴェルフェル、どうだろう。取引をしないか?」
取引。
天使が悪魔に、取引を持ち掛けるとは!
「面白い。聞いてやろう」
大天使と大悪魔が、静かに語り始めた。
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