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第十一章 そして、魔界へ
簡潔に言わせてもらう。
大天使・アウレリオは、包み隠さず要点だけを比呂士に伝えた。
「そこの天使候補生・リンを、天界に返していただきたい。もちろん、対価は準備する」
「ほうぅ。その対価、とは?」
「リンのクローンを、渡そう。君はそれで満足するはずだ」
ではこちらも、簡潔に言わせてもらおう。
比呂士はそう前置きすると、返事をした。
「答えは、ノーだ。クローンでは、輪の代わりにはならん」
なぜだ?
アウレリオは、そう柔らかに言った。
「君のコレクションの話は聞いている。天使の持つ純白の羽を手に入れれば、それで満足のはずだ」
コレクション?
輪は、比呂士を見上げた。
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