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第十一章・4
困ったな。
「全く、二人とも困ったものだ」
アウレリオは、腰に手を当てた。
次に口元にその手を移すと、輪に向かって打ち明け始めた。
「リン、実を言えば君は、天使じゃない」
「それは、まだ候補生の身分ですから」
「そうじゃない。その上をいく御方なのだ」
まさか。
今度は、顔色の変わった比呂士に向かって、アウレリオは問うた。
「ヴェルフェル。ベルミリオ様を覚えているか?」
「確か、愛を司る神だったな。600年ほど前に死んだが」
「リンは、ベルミリオ様の生まれ変わり。ゆくゆくは、神となる存在なのだ」
嫌な予感が的中した比呂士は、唇を噛んだ。
まさか、神となる器だったとは!
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