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第4話

「今日は……と」  一通りの掃除を終え、書庫へと足を踏み入れたチカは、書棚にある沢山の本を眺めて顔を綻ばせる。  チカには無いが、ハルには月に一週間ほどの発情期があり、その間はほとんどの時間をベッドの上で過ごしているから、彼の相手が嫌という訳ではないけれど、こうして一人で過ごせる時間が今はとても嬉しかった。  この書庫には、読み切れないほど沢山の本がある。  チカの知らない言語で書かれた本しかないが、文字はハルから教えてもらい、少しは読めるようになった。手の届く範囲にチカが読みやすい本を集めてあるのは、きっとハルの仕業だろう。 ――僕は……どうしてここにいるんだろう?  ページをめくり、考えるけれど答えは本には載っていない。  ハルに拾われてここで暮らしているけれど、それも数年前からのことで、それ以前の記憶がなかった。だが、それすら今のチカにとって、たいして大きな問題でもない。  もちろん、最初はすごく怖かった。  だけど今は、優しい家族とおいしい食事、求めれば本も娯楽もある。これ以上を求めるなんて、優しいハルに申し訳ないと思うようになっていた。  読むのは大抵図鑑の種類で、自然の成り立ちや植物の名前、星の動きや地球のこと、そこに生きている動物のこともチカはこの部屋で学んでいる。  実際に見て触れてみたいと思うこともあるけれど、チカにとって外は危険な場所だとハルが言うものだから、拾ってくれたハルのためにも我が儘はとても言えなかった。 「……あれ?」  一時間ほど読書をしていると、ふいに風が頬へと触れ、どこかの窓が開いているのかと思ったチカは本を置く。

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