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第3話
「友哉、今日はバイト?」
「………あぁ」
「晩ご飯は?」
「………あぁ」
「『あぁ』ってどっちだよ?いるのかよ?いらないのかよ?」
「………いる」
グズグズに友哉とエッチをして、思わぬ形で自分の内に秘めた思いに気付いた結果、友哉に対してこの上なく素直で熱い、一世一代の告白をしたんだよ、僕は。
………強がりでは、ない。
決して、強がりではないよ?
事あるごとに僕にエッチを迫ってくる友哉が、そう3日の内に4回もエッチを強要する友哉だから、僕の素直な気持ちに答えてくれると思っていたんだ。
っていうか、普通そう思うだろ?
………じゅ、純情な女の子じゃ、ないぞ?
極々自然に作用する人間の心理ってもんだろ?
………なのに。
熱く肌を重ねての、一晩あけた今。
友哉の態度が、ビックリするほど素っ気無い。
あれだけ上から友哉的な〝俺様キャラ〟を確立していた友哉のキャラがスッカリなりを潜めて、「あぁ」とか「うん」とか。
「おまえは思春期かーっ!!中二病かーっ!!」とツッコミたくなるくらい、イケメンな陰キャに成り下がっている。
………これ、僕のせいなのか?
………僕が、告ったから?
………いやいやいや。
高校の時女の子にモテまくって、告白なんか日常茶飯事の友哉だろ?!
たかだか僕の告白ぐらいで、動揺するハズはない。
………っていうか、なんだかセンチになって、思わぬ告白をしてしまった僕の方がよっぽど動揺してんだよ!!
僕のバージン、返せーっ!!
ヤリ捨てなんて、サイテーだそーっ!!
そんな純情極まりない僕の心境をよそに、友哉は食器を流しに片して、無言で家から出て行ってしまった。
僕は逃げてないよ。
友哉が、逃げてんじゃん。
逃げる友哉を、僕はどう繋ぎ止めていいか分かんないよ……。
「……あーあ。なんなんだよ、………マジでさぁ」
こんな風になりたかったわけじゃないんだけどなぁ。
義弟か義兄かに変に拘って、挙げ句の果て強引にエッチをしていたここ3日間の方が………まぁ、イヤにこしたことはなかったけど………まだ、やり易かった気がする。
友哉のことが知りたくて、僕がその距離を詰めたら、友哉は身をかわすようにスッと逃げて………友哉の事を知るどころか、関係まで悪化したような感じになってしまうなんてさぁ………。
想像の範疇を超えすぎてて、もはや僕には、どうすることもできなくなってしまったんだ。
「はぁ………」
ヤバいな。
ため息ばっかじゃん、僕。
せっかく昨日、ヤル気も元気も充電したのになぁ。
小さい頃どハマりした人生ゲームみたいに………また、振り出しに戻っちゃった。
ここ3日で色んな事が起こりすぎて………。
僕は、つい無意識にため息をつきながら、朝ごはんの後片付けをした。
こんなにため息ばっかりついてちゃ………幸せ、が逃げてく。
あぁ、でも。
元々、僕の手元には幸せなんか、なかったじゃん。
「約束どおりフィアットくれよな?親父」
あれからすぐ卒検に合格し、運転免許証も無事一発で合格した僕は、取り立ての免許証を見てニマニマしながら親父に電話をかけた。
『いいけど。うち、駐車場1台分しかないでしょ?』
「だから?」
『友哉くんがラングラー駐めてたら、フィアット無理だろ?』
「いいよ、近所に駐車場借りるから。そのためにバイトだって始めたし」
『勿体ないだろぉ。由紀さんトコに駐めとくから、円佳が必要な時に取りにくりゃいいだろ?』
………おい、親父。
話が違うぞ、親父。
フィアットが手に入るって目標だけで、ここまで頑張ってきたのに、最初に交わした約束すら反故にするなんて………。
親父!!おまえは男の風上にもおけないヤツだ!!
………どうしようかなぁ。
バイトの金貯めて車買おっかなぁ………。
でも、僕の財力じゃ、せいぜい頑張っても中古の軽自動車くらいだし………。
そもそも、居酒屋のバイトなんてたかが知れてるし。
「………あーあ」
免許を取得して気分もアゲアゲになっていたハズなのに、一気にドン底に落とされた気分になってしまった。
………誰も、僕のことを気にしてくれなくなっちゃったな。
再婚する前の親父だったら、多分ダッサイ絵を描いたオムライスなんか作ってお祝いとかしてくれたと思うんだけどなぁ。
………なんか、齢18で人生の棒グラフのどん底ラインを割った気がする。
………あぁ、なんか。
色々、詰んでる。
「君!どうしたの?」
その時、免許試験場の広いホールで、僕は思いっきり肩を叩かれた。
………だ、だれだ?!
「どうしたの?免許、合格ったんでしょ?なんでそんなに暗い顔してるわけ?」
爽やかな、どことなく友哉に似ているイケメン。
でも、性格は友哉とは全くもって正反対のようだ。
こんな見ず知らずのイケメンに心配されてしまうくらい、僕はどん底の顔をしていたに違いない。
「俺で良ければ、話聞くよ?」
「えっ?!イヤ!!めちゃめちゃ個人的なことなんで!!」
とんでもなく変な断り方をしている僕に、爽やかイケメンは照れたように頭を掻いて苦笑いをした。
「実を言うとさ、俺一人で受けにきちゃったんだよね。受かったはいいんだけど、この喜びを分かち合える人もいなくってさ………。もし、よかったら。そこの店で軽くなんか食わね?お祝いってことで」
「………そう言うことなら。僕で良ければ。僕も一人なんで」
お互い、自分のボッチ具合を苦笑いして、軽く自己紹介しながら、試験場前にあるコーヒーショップに足を向けた。
相原 潤、なんて芸能人みたいな名前を、そのイケメンは名乗った。
なんつーか、名は体を表すというか。
人当たりもいいし、会話はウェットに富んでて面白いし、頭だっていいんだろうなってのも容易に想像がついた。
しかも、同い年なんてさらに信じられないくて。
相原が注文した飲み物もアメリカンコーヒーとか、僕の未知の世界のモノを注文して、にもかかわらず、食べ物は甘ったるそうな生クリームがのせらたパンケーキを注文するあたり………。
女の子ウケ満点な、相当な手練れだということも同時に判明した。
かたや僕なんか、オレンジジュースにホットドッグとかさぁ………小学生か!っちゅうオーダーで。
………なんか、僕。
すごいヤツとメシ食ってる気がする。
「へぇ、結城くんってバレーボールしてたんだ。華奢だから、検討もつかなかったよ」
「まぁ、小さいから。セッターとかリベロ専門だったんだけどね」
「じゃあ、部活漬けで遊ぶ暇なんて無かったでしょ?」
「うん、まぁね。相原くんは、何してたの?」
「俺?俺、帰宅部」
「本当かよ」
「本当だって」
初対面の人とこんなに楽しく話をしたのって初めてかもしれない。
………昔から知っていたハズの友哉とは、どう逆立ちしたって、こんな関係になれる気がしない。
僕が告るという暴挙にでてから今日で3日。
友哉は今だに「あぁ」とか「うん」とか言わない陰キャのまんまだし。
挙げ句の果てには、新婚ボケした親父にまで突き放されるし………。
だから、久しぶりにちゃんと人と話をして、僕は本当に嬉しかったんだ。
「ねぇ、結城くん。今日の夜、合コンだったんだけど、一人男に欠員がでちゃってさ。今日会ったばっかで悪いんだけど、合コンでてくんないかな?」
………ご、ごご合コン?!
相原はつくづく、僕の想像の上をいく魔法の言葉を呟く。
………い、いやぁ、いくらなんでもさぁ。
「僕、お呼びじゃないでしょ?それ」
「いやいや!結城くん結構美形じゃん!絶対大丈夫だから!!」
………美形とか。
そんな呪文、初めて聞いたぞ???
でも、でも………爽やかにサラッと言ってのけるイケメンの相原に言われたら、なんだか悪い気がしなくて、つい………。
「………うん、わかった。いいよ」
って、返事をしてしまったんだ。
「本当に?!ありがとう!!結城くん!!あ、円佳って呼んでいい?俺のことは潤でいいからさ!!早速、LINE交換しよう!!」
………部活だけの、真面目なだけの僕の人生が、急に華やかな方向に動き出す。
………友哉のことだけ悶々と考えてても仕方がないし。
親父のムカつく発言をなかったことにしたかったし。
イケメンとLINEを交換するなんて未だかつてなかった、僕はまだ見ぬ世界に興味を抱いてしまった。
「ただいま」
案の定、家の中から僕の「ただいま」に返事をしてくれる人もなく。
サッサとハンバーグをこしらえると、合コンに行く準備をした。
………一応、手紙くらい添えるか。
「座敷童子か」と友哉からツッコまれるくらい家にいる僕がいなかったら、バイトから帰った友哉が心配はしないだろうけど、心配するかもしれないし………。
僕はチラシの裏側に油性ペンで、友哉へ置き手紙を残した。
〝友哉へ。
今日は、合コンに行くので晩ご飯食べててください。
円佳〟
………なんとも、思わないんだろうなぁ。
どうせ見たら、この適当な手紙も捨てられるし。
………なんて、タカを括っていたら。
『こんのチビ!!合コンってなんだよ!!今すぐ迎えに行くから店教えろっ!!』
自称・義兄が、電話越しにすごい剣幕で喚いている。
………チラシの手紙で、まさかここまで釣れるとは思ってもみなかった僕は、あまりの友哉の勢いに返す言葉が見つからなかった。
しかも、友哉からの電話の着歴がオニ着してる。
「………な、なんでそんなに怒ってんだよ」
『おまえ未成年だろ!!合コンなんて行っていいと思ってんのか!!』
………つーか、おまえだって未成年だろ。
なんでおまえ如きが、保護者ヅラしてんだよ。
しかも、今日の今日まで陰キャばりに喋りもしなかったヤツが、たかだか合コンくらいで一気に喋りだすなんてどうかしてんだろ?
「いいじゃん、別に。酒なんか飲んでねぇよ」
『そんな問題じゃねぇんだよ!!いいから場所教えろ!!』
「………なんだよ。友哉……なんだよ。どうでもいいだろ、僕のことなんて。ほっとけよ」
『………分かったよ。じゃあ……せめて、誰と行ってるのかだけ教えろ』
「はぁ?!」
『いいだろう!!やましいことがなきゃ、サッサと言えっ!』
………さては?
羨ましいんだな?このイケメンは。
自分より下だと思っていた僕が、合コンなんて行くことがくやしいんだ。
そう思うと、なんだか優越感に浸ってしまう僕がいた。
「相原って言う、おまえより数段イケてるイケメンなんかとだよ!分かったならもうかけてけくんな!」
『はぁ?!相原って!?あのM校の相原潤か?!おまえ、今すぐ』
再び電話口で喚き出した友哉に死ぬほどウンザリした僕は、問答無用でその通話をシャットダウンする。
………なんだよ、全く。
「おーい、円佳!電話、終わった?」
友哉からの苦情電話処理のため中座していた僕に、居酒屋の個室から顔を出した相原が声をかけた。
ほら、このイケメン。
僕ん家に君臨する性悪イケメンより、全然いいじゃんか。
「あ、ごめん!今終わった!」
そう言って僕はスマホをズボンのポケットにねじ込むと、急いで個室に入ったんだ。
別に、酒なんか飲んでない。
「真面目かっ!」ってドヤされるくらいずっとオレンジジュースだったのに、相原や女の子と話をしたりすると、頭が軽くなってぼんやりしてきた感じがした。
………楽しいから、なんだろうなぁ。
なんだか、顔も火照ってる気がする。
「円佳、オレンジジュース頼む?」
「うん。ありがとう。………潤、今日は誘ってくれてサンキューな」
そう言うと、僕はなんだか体が支えられなくなって、相原にもたれかかってしまった。
「大丈夫?円佳」
「うん。大丈夫。楽しいからかなぁ。すごくいい気分だぁ」
「そっか。じゃあこの後、俺ん家で二次会なんてしない?」
「二次会?!いいねー!なんか大人みたい!!」
「だろ?じゃ、決まりだね」
やっぱ、相原っていい人だなぁ………って思った僕は、正直ここから先の記憶が曖昧で………。
終始ご機嫌な僕は、相原の肩に頭をのっけて、人生初の合コンの楽しさを噛み締めていた。
………ん?
友哉の声………?
………また、怒鳴ってる?
またかぁ………そんなに怒るなよ………。
せっかくイケメンなんだから、ニッコリ笑ってくれたらいいのにさぁ………。
………つーかさ、今。
フワフワして、なんだかあったかくて。
すげぇ気持ちいいんだから邪魔すんなよなぁ。
人生初の合コンで、めいっぱい楽しく過ごしてさぁ。
相原なんて、すんげぇイイ奴だし………。
「………友哉ぁ、怒んなよぉ」
実際、口に出したかどうかも定かじゃない。
口がちゃんと動いていたかも分かんないし、あったかい布団かなんかに包まれている感じがしたから、ひょっとしたら寝言なんじゃないかって思われちゃったかもしれない。
それくらい………ぼんやりして。
18年生きてきて、無茶無茶気持ちイイことに遭遇した僕を、友哉に邪魔して欲しくなかったんだ。
………にも、かかわらず。
「バカっ!!」
友哉の怒号と共に、僕を包んでいたあったかい布団のようなモノが無理矢理剥ぎ取られたと思ったら、腕を痛いくらい強引に引っ張られて………。
………何、すんだよぉ……友哉ぁ。
いてぇよぉ。
相変わらず、友哉が僕の耳元で何か喚いていて……なんだよぉ。
邪魔ばっかりすんなよ………。
あーあ……。
あーあ………なんなんだよ、友哉ぁ。
「っ……うぁっ!?」
体が床に叩きつけられた痛さと、頭から浴びせられた強いシャワーの衝撃で、ぼんやりしていた僕の視界と頭が急にクリアになる。
な……なに???
なに………?!
「未成年のクセに酒なんか飲まされやがって!!酔いがさめるまでそこにいろ!!このチビッ!!」
友哉の怒号が耳に届くや否や。
………サーッと、血の気がひくってのを、リアルに感じた。
僕を床に叩きつけたのは友哉で、叩きつけた場所は家の風呂場で。
服を着たままなのに、頭からシャワーを浴びせられて………。
服が水を含んで重たくなってるせいなのか、こんなとこで溺れるわけないのに息が苦しくなって、心底、溺れるかと思った。
………酒なんか、飲んでないのに。
なんで酔ってるって言うんだ、友哉は???
そう思うと、無性に腹が立ってきた。
「………飲んでない。………だから、酔ってないし」
そう僕が言ったのが、友哉にはシャクに触ったんだろう。
もの凄く怒りに満ちた目で、友哉は僕を睨みつけた。
「酒くせぇんだよ!!」
雷オヤジみたいな怒鳴り声が風呂場に響いた瞬間、風呂場のドアが派手な音を立てて勢いよく閉まる。
………酔ってない。
………今ので。
完全に、眠気が吹き飛びマシタ。
やべぇ………。
何か、よく分かんないけど………。
友哉がめちゃめちゃ怒ってる。
僕が知る限り、史上最強に怒ってるよ……。
あんなに友哉が怒るくらいだから………万が一、無きにしも非ず、悪魔でも、ひょっとしたらの可能性で気付かない内に酒を飲んでたのかも………。
そう自覚した僕は、弾かれるように体が動き出した。
濡れて重たくなった服を秒速で脱ぎ捨てて、頭の先から爪先まで泡だらけになるくらい体を洗う。
………真面目なだけが取り柄だったのに、酒飲むなんて………。
僕は……僕は……僕は、不良だーっ!!
後悔の念に苛まれながら、風呂場から出ると僕の着替えが準備されていて。
………余計、怖さが込み上げてきた。
変に混乱しながらも、いそいそと服を着替えた僕は、変にカラカラする喉を潤したくて、リビングのドアを開ける。
「……………」
「………と、友哉」
ドアが軋む音と同時に、ダイニングチェアに座る友哉が、僕の方をキングコブラみたいな冷たい目でひと睨みするから。
その圧迫感満載の友哉のオーラと、その睨みが相まって………思わず震えあがった。
………ヘビに睨まれたカエル、って昔の人はよく言ったもんだ。
まさしく、こういう状況のことをいうんだろうな。
「………おまえ、どこまで覚えてんだよ」
「どこまでって……」
ガンッー。
友哉の拳が派手な音を立ててる。
その弾みで母さんが生きていた頃から使っているダイニングテーブルが、真っ二つに割れんばかりに悲鳴を上げた。
………こ、壊すなよぉ……マジで。
「話……女の子とか、相原とかと話して……えと、えと………えぇ?」
濡れた髪にかけたタオルを両手でイジイジしながら記憶を反芻するも、女の子の笑顔や相原の笑顔がぼんやりするだけで………。
友哉の史上最強な逆鱗にふれるような僕自身の行為が、全く思いつかない。
「………本当に、分かんないのか?」
「………全く、記憶にございません」
詰め寄るように、そうだ、テレビで見るドラマの中の刑事の尋問みたいに「おまえが犯人だろ」的なもの言いに、僕は思わず、ニュースで見る悪い政治家みたいな返事をしてしまった。
「………そう、か」
今までの、その鋭い視線を隠すように俯いた友哉は、ゆっくり立ち上がって………。
………一瞬、泣いてるように見えたんだ。
僕は、友哉が………泣いてるように見えたんだ。
「っ!!……なっ!!」
僕の頭がついていかないからか、ワープしたんじゃないかってくらい素早さで僕の両手首を掴んで、床に体を叩きつけるように押し付ける。
床ドン、壁ドン………。
叩きつけ、本日2回目。
いい加減、僕の体のどっかの骨が折れんじゃないだろうか………。
「………いってぇ!」
「いい加減、自覚しろ….…よ」
「………は?」
「………無自覚、なんだよ。おまえ」
「な、なにが??何?」
「………高校ン時、どんだけ守ってやってたと思ってんだ!!」
「は??」
「近くにいたら、ずっと守れるって………。ずっと俺のモンだって………思ってたのに」
「はぁ???」
………酒、飲んだんだろうなってのは自覚あるよ?
だって、あんだけ友哉に言われりゃ、どっかでうっかり飲んじゃったんだろうなって、さ。
だから、頭が回んないのは、当然なんだろうけど。
そう、今の僕の状態は、親父が酔っ払ってリビングでクダを巻いていた、効率が悪くて執拗なまでにからみだす、あの頭の回らなさと同じなんだろうけど。
それでも、僕は友哉の言ってることが検討つかない。
友哉の………。
イッテルイミガ、ワカリマセン。
高校ン時って、何?
守ってるって、どういうこと??
さらに、聞き捨てならないのが……。
〝俺のモン〟ってどういうこと???
「ごめん………。友哉、何……言って」
「………相変わらず。………どこまで鈍いんだよ!こんのチビッ!」
「チ……!!チビと鈍いのは、今関係ないだろ!!」
「っ!!………好きなんだよっ!!」
「何がだよ!!」
「おまえがだよ!!」
「はぁっ?!」
「円佳が!!好きなんだよっ!!」
「…………」
あまりのことに、言葉が出なかった。
どういう………こと???
僕が、つい………ついつい告った時は、僕のことガン無視したくせに。
僕を見つめる友哉の目が潤んで、揺れてて。
なんだか、熱っぽくて。
その視線から、目を逸らすことが出来なかった。
………は、反則だ。
バレーボールの反則でいうなら、オーバータイムズか、オーバーネットなんじゃね???
「かわいすぎんだよ!!円佳はっ!!ずっと……ずっと、かわいすぎるから………!!ずっと!好きなんだよ!!」
………衝撃。
なんか、あれだ。
かめはめ波、はいっちまったみたいな?
ゴムゴムのガドリング、くらっちまったみたいな?
ドン引き………いや、そんなんじゃなくて。
かと言って、友哉になんか言葉をかけるわけでもなく。
ちゃんとしたことを、なんか気の利いた事を………。
いつもみたいに「バッカじゃねぇの!!」とか、しおらしく「そんな……!」とか。
完全に思考停止した僕は、体中を血液にのって循環する酒のせいで、かなり思い切った行動をとってしまった。
首を傾げて、少し前に伸ばしたら………。
友哉の柔らかな唇に、僕の唇が重なって。
………あろうことか、僕が積極的に舌を絡ませて………濃厚な、大人な、キスをした。
そして、再びクランクランしだした頭で、僕は妙に安心感を覚えてしまったんだ。
………なーんだ。
僕だけじゃ、なかったんだ。
友哉も僕のことが…….好きなんだ。
なーんだ。
そっからはもう、なんだか。
勢いっつーか、なんつーか。
この間みたいな必死感が爆発したようなエッチじゃなくて、全てがパチっとハマったみたいな。
レゴブロックのパーツを組み合わせた時みたいなしっくりくるエッチでさ。
僕の中を奥までグズグズにしてくれる友哉のソレが、あまりにも気持ち良くて。
い、いい訳じゃないぞ!!
酒に飲まれてるからかもしんないから、あえて言わせてもらうけど。
自分から腰を浮かせて、腰を振って。
友哉のキスがたまらなく欲しくなったりして。
さ、さけの、酒のせいかもしんないんだぞ?
………でも、すごく。
友哉のことが、より一層好きになった。
友哉とこうしていないと、ダメな気がしたんだ。
「あ、あぁっ……や、奥っ!………もっと」
「奥、いいの?イヤなの?」
「いい………いいぁ………や、やぁ」
「だから、どっちだよ」
「だ、から………いい……んやぁぁ!」
「ったく!!………どこまで煽んだよ!!かわいい顔して!!」
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