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第13話

 帰り道、巽は廉に訊ねていた。  どうして俺を、あの店に誘ったのかを。 「うん。僕の周りの友達って、みんな陽キャだろ? 『いのうえ』で騒がれるの、イヤなんだよね」 「俺は陰キャだってこと~?」 「あ、そういう意味じゃなくって。巽、クラスでも大人っぽいじゃん。だから」  だから、秘密の隠れ家を披露しても大丈夫だと思ったのだ、と廉は声を潜めた。 「あの店のこと、誰にも言っちゃイヤだよ?」 「大丈夫、内緒にしとくよ」  大好きな廉と共有する秘密を得て、巽は舞い上がった。  それだけ信頼されているんだと、歓喜に震えた。 「また、一緒に行こうね」 「うん!」  その日は巽にとって最良の一日だった。

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