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第16話

 日曜日の繁華街、巽の眼に、一人の少年の姿が飛び込んできた。  人ごみの中でも、際立って垢抜けた容姿。  彼を見つけることは、赤の中から白を探し出すくらい簡単だった。 「あ、廉だ」  胸がときめくのは、今でも変わりない。  廉の想い人はマスターだけど、そんな廉を見守るのが今の俺なんだ、と思っていた。  以前のように、声を掛けようかどうしようか、と悩むことはない。  すぐに彼に向かって、歩き始めた。  そんな行動がとれるようになっただけでも、大進展なんだから。  ただ、その日の廉は様子がおかしかった。

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