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第21話
「マスターは、コーヒーを愛してた。廉は? マスターと同じくらい、コーヒーのこと愛してないのかよ!?」
「それは」
「でなきゃ、こんなに道具揃えて勉強したりしないだろ?」
それから、巽は大きく息を吸った。
こんな時に言うべきことじゃないかもしれない。
だけど、言わずにいられなかった。
「マスターに恋する廉を、俺は愛してた。マスターを見てる蓮が、好きだった」
「巽」
「マスターはいなくなっちゃったけど、俺はそれでも廉が好きだ」
愛してる、と囁き、抱き留めた廉に唇を寄せた。
廉は、よけずに受け止めてくれた。
涙をぽろぽろ流しながら、キスしてくれた。
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