30 / 31

第30話

「ね、巽。これからも一緒に居てくれる? 一緒に『いのうえ』に行ってくれる?」 「当たり前だろ」  二人で、コーヒー味のキスをした。 「俺もさ、コーヒー淹れる練習してみるよ」 「本当? そしたら、僕いろいろ教えてあげる」 「ありがと」 「うん」  コーヒーを飲み終えた二人は、ケーキを焼いてみた。 『いのうえ』で、一緒に食べたチーズケーキ。  あの味も、再現できるようになりたかった。 「道は遠いな」 「まだまだだね」  そんな風に、微笑みながら少し焦げたケーキを食べた。

ともだちにシェアしよう!