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第65話
-鵺-
能登島先輩の下駄箱に僕のspermが付いたティッシュを贈ろうと思ったのですが、生憎、下駄箱には美潮さんとあの可愛いらしい先輩がいました。付き合っているのでしょうか。能登島先輩という魔性のクラスメイトがいながら?
「えっと、ショータの後輩のなんとかクンだよね。タケウチ?タケダ?だっけ?」
「武中です」
可愛いらしい先輩は美潮さんと顔を見合わせた。付き合っているんですか。男女2人いるからといって、必ずしもそういう仲とは限りません。それにこの2人には能登島先輩という越えがたい壁があります。能登島先輩さえいなければ僕が苦しむことはなく、2人は互いに別方向に惹かれることなくカップルになれたかも知れないのに。能登島先輩はこの世に生まれた癌 です。能登島先輩さえいなければ僕は毎日masturbationをせずに済みますし、ティッシュの消費量も格段に減ります。そうですよね、美潮さん。僕や美潮さんだけでなく、能登島先輩を淫肴 にしている人々は多いはずですよ。能登島先輩は木々の敵です。ドラッグストアの味方です。そうは思いませんか、美潮さん。あなたなら僕を理解してくれますよね。あなたが僕を理解しないはずはありません。理解できないなんてことは論外でしょう。
「それで、礁太の後輩がここに何の用だ」
美潮さんは僕を睨みました。恨んでますか?僕を。ですが別れを煽ったのが僕でも実際別れをご決断したのは美潮さんのほうです。
「能登島先輩はどちらにいるのかと思いまして。こちらにはいらっしゃいませんね。美潮さんとご一緒にいると思ったものですから」
僕は少し意地悪したくなって別れたことを知らないふりすることにしました。だって美潮さん、直前まで別れないし別れる予定は無い、なんて豪語していましたもんね。
「武中クンの先輩 のチン毛頭先輩と一緒にいるんじゃない?知らないケド」
どうして可愛いらしい先輩のほうも少し怒っているんでしょう。僕、何か怒らせるようなことをしてしまったでしょうか。
「では教室を訪ねてみることにします」
能登島先輩と仲の良い可愛いらしい先輩は手を振ってくださっているのか追い払っているのか曖昧な仕草をしていました。やはりカップルだったのでしょうか。だとしたら僕はその時間を邪魔してしまいました。それにしても美潮さんは能登島先輩と別れないと言い張って掌を返した直後に今度は異性と間を置かず付き合うだなんて、薄情な人だと思いました。能登島先輩は繋ぎだったのでしょうか。もしかすると僕が思っていたような純情素朴な仲ではなく、能登島先輩とはカラダの付き合いだったのかも知れません。美潮さんの手垢と体液まみれにされて肉欲のまま弄ばれる能登島先輩を想像して僕はまたmasturbationをしなくてはならなくなりました。部室の前で澄ました顔をしながら待ちながらも、その後は熱く交合 っていたのかも知れません。僕が薬を飲ませて能登島先輩を眠らせた後も、そのまま…… 僕のpenisははち切れそうでした。美潮さんの欲情に甚振られた能登島先輩はより魅惑的に思えました。僕は能登島先輩を探しに能登島先輩の教室まで行こうとしました。ですが能登島先輩のほうからひょっこり現れたのです。能登島先輩は誰か探している様子で僕に気付きませんでした。これは幸いでした。僕は余所見している能登島先輩の前に立ち、腕を広げました。案の定、僕の胸の中に能登島先輩はすっぽりと収まってくれました。身体中を悦びが駆け巡りました。能登島先輩の体温と肉感と匂いが僕にぶつかります。
「あ、ごめ……」
「能登島先輩」
僕は放しませんでした。両腕でしっかりと抱き留め、少し下にある能登島先輩の髪に鼻先を埋めました。能登島先輩の汗とシャンプーと、能登島先輩自身の香りがしました。能登島先輩が香水になってしまえばいい。そうしたら僕は万年発情期になり、年中無休でmasturbationに励み勤しみ身体中から水分を失って干涸らびるのでしょう。切り刻まれて擦り潰されて香水の瓶に閉じ込められた能登島先輩を僕は一生放しません。ですが、能登島先輩のこの愛しい肉感と質量を感じられないだなんて、そんな人生に一体何の価値があるのでしょう?能登島先輩を知ってしまったら最期、不治の病に罹るのです。能登島先輩はこの世の癌です。能登島先輩に会わずに済んだ者たちを僕は羨み、妬 み、嫉 むことでしょう。能登島先輩に恋焦がれ、劣情を抑圧されない運命を。
「武中?どうした?」
能登島先輩は抱擁され慣れているのでしょう。当たり前です。どれだけの人間を誑かしてきたと思っているんですか。
「能登島先輩に会いたくなったんですよ」
「あ~、まじ?ってゆうか、放せよ」
「放しません。このままお話しましょう?」
「ちょっと、いや、苦しいしさ!」
苦しくしてるんです。僕の与える苦しみを感じ取っていただけて嬉しい。ですが僕が能登島先輩から与えられた苦しみはこんなものじゃないんですよ。それを能登島先輩は分かっているんですか。きっと分かっていません。
「能登島先輩、桃森先輩といらっしゃるようだと先ほど、笛木先輩から聞きましたよ」
「笛木ちゃん?笛木ちゃんに会ったの?」
「はい。美潮さんといらっしゃいました」
能登島先輩は僕を突き放そうとしていました。しかし力が緩みました。僕の勝ちですよ、能登島先輩。僕の勝ちです、能登島。勝った僕が好きにしていいですか?煮たり焼いたり、したいです。食べさせてください、能登島先輩。あなたを食べたい。
「美潮と…」
「玄関にいました。下駄箱に何か用があるのでしょうか。困りましたね。あの過激なビラも僕の下駄箱に入っていたんですよ」
可愛い、能登島先輩。僕ですよ。僕がやったんです。気付いて。今あなたを抱擁している人間がやったんです。気付いて。僕の目を見て。僕の目を見て、見抜いてください。僕の目は嘘を吐かないんですよ。よく言うでしょう?目は嘘を吐かないって。能登島先輩。あなたの純情無垢を装った澄んだ瞳で見抜いてください。僕の嘘を。
僕は能登島先輩の身体を放せないままその顔を覗き込みました。目を合わせるだけで能登島先輩は嫌がりました。男性同士というものは顔面を近付けることに敵意や害意を含んでしまうそうです。でも僕はよく女性的だとか、中性的だとか、言われるんですよ。僕は能登島先輩にとって敵になる男性 ではありません。あなたが牙を剥くのなら素直に負けを認めます。あなたに勝てるはずがないんですから。僕は能登島先輩無しではpenisも勃たず、masturbationも満足にできない片輪です。あなた無しでは何も出来ない白痴です。
「な、何…?」
能登島先輩は僕の目を見てはくださいませんでした。あの魅惑的な大きな目が僕から逃げるものですから、躍起になりました。
「あっ!ああ!あ~、泰ちゃん、桃森センパイに、可愛い女の子紹介してあげてって頼んどいたからさ!うん、楽しみに待っててよ!ね!」
能登島先輩はまた僕から逃げようとするので、僕は能登島先輩をまた抱き締めました。可愛いです。布越しでも身体が密着するだけで脳味噌が溶けていくような浮遊感がありました。僕は能登島先輩を強姦もしたいですが、愛し恋い求め合うカップルのようなセックスもしたいんです。能登島先輩、僕はあなたを強姦できる。それだけで良かったのに、あなたがいけないんです。あなたがこの世の癌だから。あなたが僕を誑かしたんですよ。あなたが可愛いからいけない。あなたが美潮さんの手垢と体液にまみれてさらに魅力的になるから。
「能登島先輩がいいです…」
「それはダメ。のっちはぼくのだから」
僕はまたerectionしていました。桃森先輩は僕の手を能登島先輩から剥がしました。能登島先輩が野蛮な桃森先輩に犯される様を想像すると、僕は引き下がるのが賢明です。能登島先輩は餌食みたいに桃森先輩にvaginaの奥深くまで貪られるのです。素敵です。もっと手垢と淫液にまみれてください。もっと濃く、魚の腐った匂いを携えてください。それでもまだ僕は能登島先輩を触っていたくて放せませんでした。
「ンで欲求不満な薫哉 んには、可愛い子紹介する。清楚系のちょいギャルでいい?」
「カノジョの件については困っていません。能登島先輩、僕は能登島先輩とカノジョのいないモテない野郎同士としてお話がしたかっただけで、欲しいわけではないんです。誤解を招いてしまってごめんなさい」
桃森先輩は僕から能登島先輩を奪ろうとしました。僕は能登島先輩を渡したくありませんでした。ですから僕も能登島先輩を放しませんでした。僕の能登島先輩です。道具みたいに犯されて、結局は女のカラダが良い桃森先輩に使用済みティッシュみたいに捨てられる姿を、僕は正直なところ観たいです。桃森先輩は性欲が凄まじそうですから、能登島先輩の種壺vaginaはぽっかり黒く穴を空けて、そこからどろどろ臭い濃厚ヨーグルトが垂れ流しになるんです。素敵です。美潮さんみたいな淡白そうな人には得られない至高の快感を与えてくれると思います。その後に僕の種を注いで、桃森先輩と僕の間 の子精子を能登島先輩が孕めばいいじゃないですか?僕は桃森先輩みたいに女がイイとか思いませんし、女の良さというものも分かりませんから、能登島先輩を捨てたりなんてしません。ああ、それから女の良さに釣られたのは美潮さんもでしたか。
「ま~じ?」
「モテないって……まぁ、そうだけどさ…武中はウソでしょ。絶対話盛ってるよ」
「ブスは女じゃねーとか、そういう?」
桃森先輩は腕を組んでしまいました。僕がモテないのは本当です。だって能登島先輩は僕に気付いてくれないじゃないですか。能登島先輩は僕に気付いてくれませんし、僕が付き合いたいと言っているのに誤魔化してばっかりです。やっぱりモテないじゃないですか。
「好きな人に振り向かれないのはモテないと同じです。僕をモテさせてください。ですから、ねぇ、能登島先輩。僕と付き合いましょう」
僕だって桃森先輩に出て来られたら困るんですよ。僕は今すぐ付き合って、能登島先輩とカップルみたいな仲睦まじいセックスがしたいのに。桃森先輩に預けて惨めに捨てられるところも観たくて観たくて仕方がないんですから。僕は桃森先輩がもう少しはっきりした態度をとるのなら、能登島先輩を渡します。いっぱい生臭くしてください。垢と汗の饐えた匂いを消えないくらい能登島先輩の瑞々しい肌に練り込み、擦り込んでください。でなきゃ能登島先輩を渡す意味がありません。
「幽霊みたいな顔でひとりでニヤつくのやめな?」
桃森先輩は能登島先輩を触ってはいませが、僕の欲しい言葉をくれません。
「能登島先輩、答えてください」
「だから、付き合わないって。オレに言ってどうすんの?好きな子にちゃんと言ったか?それ。思わせぶりじゃダメ。ちゃんと好きって言って、それから付き合ってください、だろ。1年じゃないとか?2年の子?誰?クラス分かれば協力はするよ」
僕は能登島先輩から目を離しました。桃森先輩と目が合いました。桃森先輩はいつもの軟派で軽率で野蛮げな表情ではありませんでした。僕は何か、桃森先輩の気に障るようなことをしたでしょうか。
「おい、武中。話聞いてた?」
「はい。クラスはC組ですよ」
「えっ、2年?」
「はい」
能登島先輩は驚きと同時に少しはしゃいでいました。可愛い人だ。早くひとつになりたい。芋虫が蝶になるとき、蛹の中で蝶になる原基 に芋虫は呑まれます。僕は芋虫で能登島先輩は蝶です。蛹の中でドロドロになりながらたくさんセックスしましょう。僕はクリームになって能登島先輩の蝶に呑まれるのですから。
「あ~、のっち。こういうのは自力でやってこそ、男よ。後輩が可愛いンも分かるけど、やめとけ。薫哉 んも、のっち先輩からかうのはもうやめとけや」
桃森先輩は笑っていましたが僕に対する剣呑な眼差しは隠せていませんでした。桃森先輩、どうせあなたは女がイイと言って能登島先輩を捨てます。桃森先輩、あなたの野性的なカラダが同性 じゃ満足しないんです。
「え~?」
「女紹介するってのは結構ヅルヅル面倒臭いもんなんだよ」
僕は能登島先輩を放しました。汚されて臭い匂いと一緒に帰ってきてください。僕は能登島先輩なら肉塊でも愛せますよ。少なくとも能登島先輩の捨てたテストだのストローだのペットボトルだの代替にもならないものよりかは愛せます。能登島先輩。能登島先輩…
「じゃ、のっちはこれからぼくと約束があるから」
「約束?なんだっけ?」
桃森先輩の手が能登島先輩を引っ張って行きました。胸が熱くなりました。もどかしいです。精液の腐ったみたいな匂いが能登島先輩のvaginaに染み付いて取れなくなるまでどれくらいかかるのでしょう?その間、僕はどれほどmasturbationをしてしまうのでしょう。僕のpenisが壊れてしまうかも知れません。ああ…愛してます、能登島先輩。まだあなたを強姦しかできないなんて。次こそはカップルみたいに、顔を見て、声を聞いて、性感帯を探し合って、忘れられないような、高め合う甘いセックスがしたいのに。能登島先輩、能登島先輩…
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