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第9話 お触り禁止
――右の乳首のほうが感度良いのは右利きだから? キスマ多かったでしょ? 寝てる間に悪戯してた。
「……ホントだ」
右側のほうがキスマーク多い。
今朝も思ったけど、ここにカズの唇が全部触れたんだ。
「……」
全部、カズの痕。
「っ……ン」
右のほうが、感度良いの、かな。
「っ」
ちょっとだけ先を指でなぞってみると、自分で恥ずかしくなるくらいにビクンと身体が跳ねた。ついこの間までは自分の指の感触しか知らなかったのに、昨日知ったカズの舌と俺より強く、けど、優しく引っ掻いてくれるカズの指先がくれる快感を知ったせいで、ひどく敏感になってる気がした。
「っ」
触れたら、いじるのを止められなくなるくらいに、ここ、気持ちイイことを覚えちゃってる。
「く……ぅン」
父さんはいない。けど、母さんがいるのに。
「っ」
風呂場なのに止められない。
いつ洗面所に母さんが来るかなんてわからないのに。
だって、カズがここに付けたんだ。赤いキスマーク。
「あぁっ!」
そこを摘むと特別気持ち良かった。ぞくぞくっと熱が上がって、身体の奥、昨日何度も突かれて、抉じ開けられた場所がじわりと疼く。
「やっぱ、右のほうが好き?」
「っ!」
一瞬、心臓が止まった。喘ぎ声が零れてしまった瞬間、がちゃりと開いた扉に。
「カ、カズっ、何してっ」
止まった心臓は次の瞬間、服を着たまま風呂場に入ってきたカズを見て、トクトク忙しなくまた動き始める。
(お前、母さんが!)
「今、役員の何か知らないけど届けに出かけた。話が長い人だからって言ってたから、しばらく帰って来ないでしょ。ナオ、俺の服濡らさないように気をつけて」
「っ」
そして、キスマークをたくさん残した胸が高鳴る。
「しばらくって」
「ナオってさ」
「?」
「エロくて、スケベだよね」
「っ、あっあぁぁっン」
右の乳首を口に含まれただけで、快感に蕩けそう。
「やばい……その声」
「っ」
「あと、この乳首もやばい」
「ん、やぁっ……ン」
口に含まれて舌で溶かされそうなくらいに舐められると、コリコリしてるのが自分でもわかる。
「あっ、はぁ……ン」
まるでもっとってねだるようにカズの髪を指でくしゃくしゃにまさぐって、その頭を抱きかかえて乳首を押し付けてしまいたい衝動を堪えるためにキスをした。
服なんか濡らしちゃえばいいのに。そしたらここで思いきり抱き締めるのに。
唇が離れる瞬間、伝い零れた唾液を追いかけて口付けようと思ったけれど、タイルに手を押し付けられて、それはできなかった。
「あっ! ンっ……ン」
カズの舌に可愛がられて感じて、硬くなってる。甘噛みされると耐えられないくらいに気持ち良かった。声がどうしても零れてしまうほど。
俺の両手を掴んだまま、背中を丸めたカズが左の乳首に口付けてくれる。
「あっ……」
左ばっかじゃなくて、右にも欲しい。
「左と比べてみる?」
この舌で唾液を右にも塗って欲しい。
「こっち。右の感度」
「う……ン、して」
欲しいよ。右の乳首だって、ねだるようにもう先端を尖らせてる。
「うまそ……」
「あっ、はぁぁぁぁっ」
蕩けそう。
「あっン……ン」
右の乳首を口に含まれて、その熱い口の中で舌にいじられると、蕩けるほどに気持ちがいい。
「あンっ」
甘ったるく啼いてしまうくらいに気持ち良くて、腰が揺れてしまう。
「ナオ……腰、揺れてる」
「ン、だって、気持ちイ……」
服が濡れないよう少し離した互いの間から、濡れてる自分のペニスを見つめた。カウパーをたらたら零しててはしたなくて、恥ずかしいのに。
「ぁ、カズっ……ンン、んっ」
ここも触って欲しくてたまらない。
「カズ、服脱いでっ」
「ダーメ」
「な、で……触れないっ」
触って欲しい。
触らせて欲しい。カズの身体に、カズのペニスに、触りたい。
「ダメ」
「なんで?」
「そんなに時間ないでしょ」
「あっんんんっ」
乳首をキュッと摘まれた。右の乳首。
「ぁ、ン、やだっ、ぁっ、んんん」
「ナオのイく顔見せて」
「あ、あっ」
キスできる距離でカズが微笑んで、喘ぐ俺の唇に少しだけ触れる。ほんの少しだけ。
「さっきさ、うちの前の公園で話してた時のナオ、色気ありすぎ」
「ぁ、アッ、カズっ」
「ねぇ、ナオ」
乳首をカリカリって爪で引っ掛かれて、摘まれて、おかしくなりそう。
「ぁ、カズっ……ン、カズ、ぁ、あっ」
乳首をいじられて感じてる顔を見られてる。ペニスは触られてないのに、もうイきそうになるくらい乳首を可愛がられて喘いでるとこを見つめられてる。やらしい顔を、
「カズっ、カズっ、ぁ……イく」
「いいよ。イって」
「あ、あ、あっ」
「そのナオの顔をおかずにするから」
「あ、ぁ、あン、ン、んんんんんんんっ」
見られながら、射精した。風呂場で、服を濡らせられないからと、触れることは禁止されながら。
「あっ……カズっ」
乳首だけでイった淫らな顔を、カズに見つめられて。
「すげぇ、興奮する」
舌だけ差し込まれて、しゃぶりつきながら、もう一度、白が滴り落ちた。
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