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第30話 朝日の中

 朝食、何時だっけ。 「あ、あ、あっ……ン、ぁっ」  ビュッフェ、だって言ってたよ。 「あっ触って、乳首」 「っ、直紀」 「いじって」  ベッドのスプリングがまた大きく波打つ。シーツを乱して、窓いっぱいに降り注ぐ朝日の中、甘い声をあられもなく零しながら、騎乗位で腰を振りたくってる。 「あ、あ、あっ、それ、好き」  朝、浴衣を着たら、襲われた。 「んんっ、ぁ、ンっ」  襲われたかった。 「はぁっ……ぁ」  もっとカズとセックスしたかったから。 「あンっ」  カズに跨って、激しく腰を振っていたら、浴衣が肩からするりと落っこちた。甘く啼きながら、乱れた浴衣を直しもせずにセックスしてる。だらしのない半裸のまま繋がりをほどくことなく、孔深くにカズのペニスを咥え込んでる。 「ぁ、和紀っ」  こんなにしたらさ、ここ、カズの形になっちゃいそう。くびれも、太く張り出たとこも、裏筋に走る血管も全部が気持ちイイ。してること全部が刺激になる。 「あ、んんんっ」  夢中になってたら、いきなり腰を掴まれて、前立腺をペニスの幹で押し潰すように擦り上げられて切ない声が零れた。そして、勃ち上がって濡れそぼったペニスが突き上げられる度にぷるんと揺れて、抉じ開けられた中がきゅぅんって口を窄める。 「ナオの身体ってさ、やばい」 「?」 「なんで、こんなに気持ちイイの?」  朝日に眩しそうに目を細めて、うっとりとしてるカズにキスをした。唇で吸い付いて、孔でしゃぶりつきながら。 「気持ちイイ? 俺の身体」  昨日から何度も咥え込んで、中にたくさん注いでもらった身体でもキスするように孔の口を窄める。 「俺も気持ちイイ」  ぺろりとその唇を猫のように舐めるとゾクゾクする。何度もキスをしてくれた唇に、何度も乳首を噛んでくれた歯に、何度も俺の身体を濡らしてくれた舌に、貪るようなキスをしながら腰を揺らす。 「和紀……ぁ、ン」  密着したまま腰を揺らすと前かがみになってるから、そそり立った俺のペニスがカズの腹の上を上下に撫でる。先走りを塗りたくるように、ずちゅぐちゅ、やらしい音をさせて。 「和紀」 「っ」 「ぁっ、ン」  カズが起き上がると片手で俺を支えながらぐるりと体勢を入れ替えた。今度はカズが動きたい? 俺の中、好きにしたい? 「ぁ、やぁぁぁっ、これ、深いっ」  そして、一度深く貫かれて背中をそらせて喘ぐと、ベッドが揺れて、シーツがまた波打つ。  朝食を食べる時間も惜しんでセックスしてる。合間合間でまどろんで、互いの肌に触れて、触れたところからまた火が点いて、居眠りしかけた快楽が起き上がっては、また繋がって。 「あぁぁぁっ、ぁ、ン、激し、っ」  強く中を抉じ開けられた。  甘イキを覚えた身体は浅ましいくらいにカズのペニスの虜になって、一突きごとに大悦びする。乳首だって、弄って欲しそうに小さな快楽の欠片を拾い上げてはコリコリに硬くなるようになった。孔は――。 「ぁ、ン、これ、気持ちイ、そこ、好き」  もう覚えてしまった。 「もっと、突いて、ぁ、あぁぁ」  セックスの快楽も、カズのペニスの形も。 「ぁ、あ、あっ、また、イくっ」  虜になってしまった。無我夢中で、貪るように、激しくもつれ合いながら。 「和紀、ちょう……だい、っ「 「っ、ナオっ」 「あ、ン、ぁ、あっ、あぁぁぁぁぁ」  和紀の上できゅっと肩を丸めて、小さくなりながら、また達した。  敏感でイキやすくなった身体は中に放たれた熱に感じてイけるくらい、虜になった。 「ぁ、あっ……」 「っ、直紀」 「ン、ぁ」  夢中になってセックスしてる。俺の、和紀。 「んんっ、すごい……まだドクドク言ってる」 「すごい? 」 「うん、すごい、ぁ、和紀の」 「もっとすごいよ? まだ、イける」  綺麗に朝日の中、爽やかに微笑みながら、また体勢を入れ替えた。 「あっ……ン」  今度は横向きになった俺の片足を抱えながら、萎えることのないペニスをそのまま濡れそぼった孔に突き立てられる。身じろぐだけでもくちゅりといやらしい音をさせて。 「はぁっン」  突き入れられて感じるのは苦しさでも圧迫感でも違和感でもない。 「ぁ、ン、これ気持ちイ、よ、ぁっ、ン、すごっ」 「いくらでもしたい」 「ぁ、あっ」 「直紀とずっとこうしてたい」 「ンっ……」  腰を突き入れながらのキスが好き。 「直紀ン中、たまんない」  苦しそうな顔をしながら、俺の中で暴れてくれるのが好き。中に注がれた白が泡立つくらいに、激しくされると蕩けそう。 「ぁぁっ」 「直紀、ここも好き?」  好きだよ。何もかもが好き。キスも前戯もセックスも。 「ン、だから、もっとして」 「っ」 「まだ、チェックアウトまで、時間、ある、から」  大好きなんだ。和紀のこと。 「和紀……」  ぎゅっと抱き締めた。離れたくないとしがみついて、やめて欲しくないと身体を濡らして。そしたら、部屋の電話が音を立てた。朝食の時間が終わってしまう、とか、そういうの。 「電話、直紀」  知らない。 「いいの?」 「い、い、あ、もっと奥突いて」  電話なんて出たくない。 「ぁっ……ン、イくっ」  そして、俺も和紀も無視したまま、ただ、ただ夢中になって、まだセックスをしていた。 「カズ、荷物、忘れ物ない?」  弟のことはずっとカズって呼んでた。呼びやすいからさ。いつも隣にいる、俺の弟。 「……ない」 「……チェックアウトしないと」  その弟が、呼ばれて、はっとした顔をした。でもすぐにいつもどおり、少し退屈そうに涼しげな顔をして、部屋の鍵を手に取る。 「忘れ物はないよ、ナオ」 「ん」 「あ、一つだけ」 「何? ……ン、っ」  舌に蕩けそう。 「ン、ぁっ」  部屋を出る直前、腰を抱かれ、キスマークが数え切れないほどついた身体を廊下の壁に押し付けられてキスをされた。  舌を絡ませて、唾液が溢れるほどに濃厚な口付けを、角度を変えて、深く、たっぷりと。 「忘れ物……直樹」  だから、俺は数え切れないほど引っ掻き傷がある背中に手を回し、何度も舌を伸ばして、キスをした。

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