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第49話 湯気に隠れて

 シャワーの音を隠れ蓑にした。 「直紀―、和紀―、ちゃんとしっかりあったまりなさいよー。夏風邪のほうがやっかいなんだから」 「っン……っ」 「わかってるよ。ちゃんと……温まるから」  言いながら耳にキスをされて、水音でも掻き消せないような甘い喘ぎ声が零れそうになった。 「ね? ナオ」 「っンっ……ぁっ」  すぐそこに母さんがいる。  曇りガラスの向こう側で俺たちの着替えを持ってきたからねと、母さんがそこにいる。 「ぁっ」  母さんがいるのに、カズの掌に自分からペニスを擦り付けてしまう。腰をくねらせて、カウパーが零れて止まらなくて、ぬちゅくちゅと濡れた音を立ててしまうくらい、ペニスのくびれを掌で可愛がられてたくて、たまらない。 「っ……」  気持ちイイ。 「っン」  その時、洗面所の扉を閉める音が聞こえた。 「もう平気だよ、ナオ」 「あっ、カズっ」  カズの掌、気持ちイイ。 「カズっ」  もっと、して欲しい。指でここ、鈴口のとこをいじられたい。ペニス、扱かれながら、キスしたい。 「カズっ」  この舌にしゃぶりつきたい。 「ナオ、もっと舌出して」 「ンっ……ふっ、ぁ」  カズのペニスがものすごく反り返って熱を溜め込んでた。こんなに硬くして痛そう。ガチガチで熱くて。 「ぁ……ン、カズのっ」  いつもこんなに太くて硬いのが俺の中で暴れてるなんて。 「ナオってさ」 「ぁっ……ン」 「キスする直前の顔、すげぇ、エロすぎ」 「あっんくっ……ンっ、ん……ンン」  舌を伸ばすと齧り付くようにキスで口を塞がれた。シャワーの音で掻き消されてるだろうし、もしわずかに聞こえるとしても、身体を洗ってる音だってきっと思ってくれる。  お互いにお互いのペニスを握って扱き合いに夢中になってた。喘ぎ声を零す唇に噛み付くようにキスされながら、掌の中に自分から擦り付けて。カズのペニスを両手で扱いてあげた。俺の中で暴れる硬い熱の塊は掌でだって感じてしまうんだ。 「ぁ、カズっ……ン、ぁっ」  だって、カズの何もかもがしゃぶりつきたいくらいに、好き。 「ぁ、あっ」 「やば……もう、イきそう」 「ぁっ、ナオってどこもかしこもエロいんだよ」 「あ……じゃあ、ここも?」 「っ」  指で自分で摘んで見せた。 「乳首にも、カズのキス、欲しい」 「っ」 「ン、お願い、して、乳首、可愛がって」  自分で勃起してきた小さな粒を指で摘んで、捏ねるように愛撫しながら、カズの唇をぺろりと舐めた。 「カズ……」 「マジでさ……ナオってさ、エロすぎだろ」 「あっ!」  だって、仕方ない。  最近タイミング悪くて、俺もカズも二人っきりになるチャンスがちっともなかったんだから。夏期講習があって、剣道の稽古があって、カズが忙しそうで。俺も明弘さんのところでバイトもあるし、課題もあるから、全然、さ。 「ぁ、あっ」  全然、可愛がられてないから。 「ぁ、ん、乳首、気持ちイ」  リビングには母さんがいる。お風呂場に二人一緒に入ってるって、知られてる。ずっと入ってたら怪しまれる。 「ぁ、カズっ、も、ぁっ」  すぐ近くに家族がいるのに。 「ぁ、ああぁぁっ」  欲しくて、欲しくて。 「っ、ナオっ」 「ぁ、イくっ、イくっ」 「っ」  止められない。 「あ、あっ」  手も。 「んっ……ン、くっンン、はぁっ……ン」  キスも。 「ぁっ……ン」  ずっと欲しくてたまらないのを我慢してたから。 「……っぷ、すげ」 「ぇ、な、何? なんで、笑って」 「だって、ここまで飛んでる」 「え? ぁっンっ」  乳首のところを噛まれた。噛まれて、吸われて、赤い印がくっついた。それが、ものすごく嬉しくて、気持ち良くて、たまらない。なんか、すごい、ふわふわする。頭の芯が熱でふやけたみたいか感じ。 「飛ばしすぎじゃね? ハンパないんだけど」 「ほ、んと……だ」  俺の、かな。すごい恥ずかしいくらい飛んでる。  そして、目の前にはカズの裸があって、腹筋も胸も、鎖骨とか首筋とかの骨っぽい感じとか、全部、蕩けるくらいにしゃぶりつきたくて。 「カズのとこにもすごい……飛んでる」 「っ、ちょっ、ナオ」 「ここにまで飛んで、た」  熱にのぼせたみたいにフワフワしながら、思考回路が蕩けたまま、その胸に齧りついてた。歯を立てて、キスをして、舐めて、しゃぶりついてた。 「……俺の、カズ」 「っ」  抱き締めると、喉奥まで犯すようにキスをしてくれるから。 「ぁっ……ン、俺の」  その舌にしゃぶりつきながら、温かくて、熱くて甘い快楽に、内緒で少しだけ、またイっていた。

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