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第67話 教室の片隅で

 こんなこと、しちゃいけないってわかってる。  もしも見つかったら、大変なことになるって。 「あっ……カズっ、ぁっ……ン」  わかってるよ。 「はぁっ……ン」 「ナオ」  教室の片隅に追いやられた机と椅子に隠れて、カズにしがみ付いた。 「ぁ、ン」  シャツを捲り上げられて、乳首にキスされるだけで、どうしようもなく感じてしまう。脚の間に陣取ったカズを太腿できゅっと挟み込んで、尖がった乳首の先端を舌先に押し付けてしまう。 「今日のナオ、なんか可愛い」 「ン、バカっ、可愛いわけ、ないっ」 「それとさ、いつもナオはエロいけど、今日はすげぇ敏感すぎて」 「ぁっン……」 「やばい」 「ン」  だって、カズと学校で二人っきりだなんて。  同じ制服を着て、同じ教室にいるなんて。  たまらない。 「だから、早く、カズ」  夢、みたいだ。 「カズっの、欲しいっ」  願いもしなかった。 「カズ……っ、ン、ん、ン」  制服を乱した俺に覆い被さるカズの髪をくしゃくしゃにまさぐって、舌を伸ばす。床に座り込んで、覆い被さられて、乳首を可愛がってくれた舌に口の中をまさぐられて、どうしようもなく切なくなる。 「カズっ」 「ナオ、指、入れるよ」 「う、ん、ン、ぁっ……あっ」  頷きながら震えてた。早くカズに抱かれたくて身震いしてしまったんだ。だって、指を挿れられただけで、もうこんなに興奮してカウパーが止まらない。トロトロに濡れて、恥ずかしい。 「ん、ぁっ……ぁっ」  制服のズボンと下着を片足だけ抜いて、はしたなく開いた脚の間、もうやらしく欲しがりな孔に指がつぷりと入って、中をゆっくりじっくり掻き乱す。 「ぁ、ん、指、気持ちイ……」 「ナオ」 「ぁ、あ、あ、っン、もっと、して」 「っ」 「カズの指、好き、もっと」  くち、くちゅっていやらしい音を学校の教室に響かせて、弟といかがわしい行為に耽る。ひどく穢れたことをしている。  でもさ、たまらなく幸せなことをしているんだ。  気持ち良くて、戸惑うほど。ずっとずっと恋焦がれていた人と、今、あの時の片想いを抱えて溜め息をついていた教室で、甘いキスを交わしてる。 「カズ」 「ナオ……」 「あ、あ、あ、あ、そこ、ダメっ、ぁっ」  しちゃいけないってわかってる。  もしも見つかったら、大変なことになるって、わかってるよ。これがどれだけいけないことなのかって、知ってるんだ。でも、どうか、今だけ、お願いだから。  上手に隠れるから。誰にも見つからないように上手くやるから。だから、お願い。 「ナオ」 「ン、ぁっ……カズ、抱いて」  上手に隠れるから。ずっとこの制服で隠してた気持ちを、お願い、今だけだから。 「このまま、がいい、カズ」 「……」 「ゴムなしじゃ、無理? 俺、はっ」 「やっぱ、わかってねぇじゃん」 「? カズ?」  押し倒されて、上から腕で閉じ込めるように覆い被さられた。 「ナオ……」 「ぁっ」 「ゴムしないからね」 「ん」  床の上に寝そべってカズを見上げると、手で膝を掴んで広げてくれる。 「っ」  もう何度もしてるのにさ。もう何度もカズとセックスしてるのに。 「ナオ?」 「っ」  少し緊張した。  ここでカズに抱いてもらえるなんてって思ったら、なんか。 「ご、ごめん。なんか、まさか、カズとこうして、ここでできるなんて思ってなかったから」  皆が好きな人の話をするのを聞いていた。俺は絶対に、絶対に叶うことのない片想いをずっとここで抱えてた。 「なんか……」 「やば」 「?」 「ナオ、ホント可愛すぎ」 「何言っ、あ、ぁ……ぁ、んんんんんんんんっ」 「ナオ」  貫かれた瞬間、堪えきれず射精した。さっき舐めてキスしてもらった乳首にまで飛び散ってしまうくらい、白を弾かせて、イった。 「っ、ナオ、ンっ中、すげ」 「あ、ぁっ、だって」 「ナオ」 「あぁぁ、ン、今、イってる」 「ナオ」 「あ、あ、あ、そこ、ダメ、また、イ、くっ……ぅ、ぁ」 「ナオ」  ずちゅ、くちゅ、甘いいやらしい音。制服をくしゃくしゃにしながら、ゆっくり、強く、カズのペニスが奥まで抉じ開けていく。開かれて、めいっぱいカズのペニスで埋まってしまう。孔の口で咥えて、しゃぶりついて、中をきゅうきゅう締め付けながら、貫かれただけで悦ぶ身体をくねらせた。深くまでカズのペニスで気持ち良くなりたいって、悦がりながら自分でも腰を振って擦り付けてる。 「あぁっン」 「っ」 「あ、あ、アん、ぁっ」  気持ち良くてたまらなくて、ずぶずぶに奥まで挿れて欲しくて、自分から脚を抱えて広げた。はしたないほど孔をキュンキュンに締め付けてしまう。 「ナオっ」  去年のキャンプファイヤーの時、探してたんだ。 「あ、あぁっ……ん、ぁっ、ン」  カズはどこにいるんだろう。キャンプファイヤー、少しだけ近くで見てたかったのに。これで最後なのに。また、どっかで女子といるのかな。  そう思って、しょぼくれてたんだ。 「あぁぁン」 「ナオっ」  けど、今は、俺の。 「ぁ、ン、カズ」  俺の、だよ。 「ぁ、あっ、カズ、カズっ」  ずっと好きだったんだ。だから、お願い。 「カズっ」  どうか、今だけでも。 「ナオっ」  カズのことどこにもやらないで。 「ぁ、イク、ぁ、イっ、ぁあああああああっ」  中でカズがイク瞬間、折れそうなほど抱き締められて、首筋に痛いくらいに噛みつかれて、中が愛しそうにカズのことを抱き締めていた。

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