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和紀視点 4 やらしい人
こんな人、いつどこでさらわれるかわかんねぇだろ。男でも女でも、この人を欲しがる奴はきっとたくさんいる。
「あっ……ンンっ、カズっ」
だって、血の繋がった弟でさえ、この人のことがこんなに欲しくてたまらないんだ。
自分以外の男が近くにいただけでこんなに慌てて、この人は俺のだって印を刻みつけたくてたまらなくなる。
「あっ、まだ、ここ、玄関っ」
うちに辿り着いた瞬間、抱きたくてたまらなくなる。
「あっ、んっ……カズ」
扉に背中を預けて、身悶えるこの人の首筋にきつくキスをする。まだ玄関だけしか明かりをつけていない。まるでスポットライトのように照らされた一角で、びしょ濡れになった靴を脱ぐよりも先に、この人のうなじに噛み付いた。
俺のだよって。
「やぁっ……ン」
印を慌ててつけたんだ。
「あの車の、あれだろ? しょっちゅう、ナオに連絡してくる奴」
「サークルの、ことで、だって」
そのサークルの先輩とやらにわかるように。きっと俺の知らないところで、この人を欲しくて手招いてる誰かにわかるように。
首筋にキスをして印をつける。
「あぁっ……ン」
甘い声をあげるその喉にもキスをして、洋服をまくり上げると、もうすでに何かを期待したようにツンと尖ってた乳首にもキスをした。
「ああっ、はぁっ」
気持ち良さそうな溜め息を聞きながら、そのツンとした先端に歯を立てると、ナオの長く綺麗な指が俺の髪を弄ってクシャクシャに掻き乱す。
「くぅ……ン、あ、カズっ」
もどかしそうに腰を揺らして、もっとってねだるように俺の舌に、歯に、その勃起した乳首を押し付けて。乳首を舌先で転がすようにキスをしていたら、ナオが甘えた声で俺を呼んだ。そして、その唇に深くキスをする。
舌をねじ込んで、口の中を舐めて、舌を絡ませて。唾液が溢れるくらいに、舌同士で濡れた音をさせながら。
「酒飲んだ?」
「そ、りゃ……ね。付き合いだって。でも、酔ってないよ」
「知ってる」
「酔っぱらえるほど楽しくないから」
そう言って、さっき、まだここは玄関だって俺を宥めたその唇が薄く開いて、早く続きをって、俺に甘いキスをくれた。
「ん、ン……ン、く」
バスルームにシャワーの水音と混ざって、ナオの喉が音を立てる。口の中を窄めて、しゃぶりつく卑猥な音にゾクッと背中を興奮が撫でた。
この人のこういう艶姿を想像して何度も抜いた。
「ン、ン、ン」
この人の代わりを見繕って、誰彼構わず抱いて、抜いた。
最低なことをしてるってわかってても。
「ん、ん、ふぁっ……ぁ」
実の兄だって頭ん中にブレーキをかけたって、全然、火花が散るばかりで止まってくれなかった。何度も、何度も、この人を頭の中で抱いた。
「ナオ、フェラ、やばい」
けど、本物のこの人は想像してた以上に艶やかでやらしくて、気持ちよくて、最高に、幸せだった。
「……」
俺の呟きに目を細めて、窄めてしゃぶってくれていた口を離すと、ナオの唾液で濡れた俺のそれに頬を寄せた。ちらりと視線をこっちにやって、鼻先で亀頭に触れて、そのまま、唇を竿へと沿わせる。柔らかい唇にツーッと撫でられて、そのまま根元にキスをくれる。そして、この人は気持ち良さそうに、自分の孔を指でほぐしてる。
くちゅり、って、今した甘い音はナオの指が孔をやらしく拡げた音。
見えないことに興奮する。
しゃぶりながら、自分で指を使うやらしいこの人に、このやらしい舌遊びにゾクゾクっと快感が背中を駆け抜けた。
「本当に、酔ってない?」
「?」
ペニスにキスをしながら上目遣いで首を傾げるとかさ。
「フェラが、エロすぎ」
「んっ……」
あざといその仕草一つでイかされそう。
引き寄せ、こっちにもキスが欲しいと唇を重ねて、楽しそうに嬉しそうに俺のペニスにしゃぶりついていた舌に舌を絡める。
「ん……口の中にも、欲しい、のに、カズの精液」
浴槽の縁に腰をおろしてた俺は、そのままナオを引き寄せ、俺の上に跨らせる。
「やっぱ、酔ってんだろ」
「そう、かも」
「は?」
「カズといるの、楽しいから」
―― 酔っぱらえるほど楽しくないから。
さっき、そう言ってたっけ。
「あ、あ、ンンんんんんっ」
挿入の瞬間、甘い悲鳴を食べるように深く口づけながら、深くこの人の身体を貫いた。
「っぷはっ、あ、っあ!」
深く、強く射抜かれながらイったこの人が俺の首にぶら下がるように腕を絡めたまま、根本まで咥え込んだ俺にきゅうぅぅんとしゃぶりつく。
ツンと尖った乳首にまで届きそうなほど白を飛ばして、気持ち良さそうに抱かれて、甘い声を上げる。
「はぁっ……ン、ぁっ……あ、それ、あっ」
「ナオ」
「やあっ……ン、あ、おかしくなる、っ乳首も噛まれた、らっ」
昔っから細かった腰を鷲掴みにして、その身体の奥を何度も何度も深く突いて、引いて。
「や、ンっ……あぁっ、あ、ン、カズっ」
突いて、引いて。
ナオが俺の動きに合わせて腰をくねらせて、自分から俺のにしゃぶりついて、きつく締め付けてくれることに、喉を鳴らしながら。
「っ、ナオ」
「あ、あ、あ、あっ、もっと」
貫いて、いっぱいまで抉じ開けて。
「もっと、して、カズ」
「っ」
欲しがる舌にしゃぶりついて、キスって単語が不似合いなくらいに絡まり合いながら。
「カズっ、好き、あ、あ、あ、ン、イく、イクッ」
「なお」
「あ、あ、あ、あああああああっ」
血の繋がった兄の中で、射精した。
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