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九章 一

Side:末摘 蘇芳  白狼は優しい男だ。蘇芳は分かっていた。ヒナは少しだけだが白狼に好意を寄せている。それでも蘇芳にその思いを隠して親切にしてくれていることも。葛藤しながらも、お香を焚いてくれたことも。  一つ誤算があったとすれば、白狼がどこまでも真っすぐで潔癖なことだ。  かわいそうに、と同情してしまいそうになる。悪い狐に騙されてしまって。  けれど蘇芳はとっくにその真面目な白狼に堕ちてしまった。自分から手放すのも離れるのも、本気で好きになるのも怖い。 「イ、 いっちゃうっ」  布団を蹴りながらシーツに爪が深く侵略していく。  蘇芳の身体が弓のようにしなり、白狼の手に欲望を放った。  後ろから抱きしめられるように支えられ、白狼の大きな手に包まれ擦られ、蘇芳はこれで二回も精を放っている。白狼の理性を奪うためのお香のはずが、蘇芳自身にも効き目が強いのか、それとも興奮した白狼から香る雄の匂いに興奮しているのかもしれない。  何度も白狼の手を汚しているのに、また臍に当たりそうなほど膨れ上がり身体が熱くなる。 「白狼。僕も白狼の触りたい。舐めていい?」 甘えた声で尋ねられると、後ろから抱きすくめている蘇芳の体温や、匂いが、放ったばかりの白狼の身体を熱くさせる。体中の熱が集まり下半身に熱が溜まり固い芯になって尖る。 「白狼、も、無理。白狼の匂いで体が疼くよぉ」 「そうか。すまない。効果なかったな――」  手を離されたが、その隙に蘇芳は振り返り抱き着く。そして懸命に唇をペロペロと舐めた。 「蘇芳さん」 「違うの。後ろで白狼の固くなったの押し付けられてたら、全然興奮が冷めないの」  白狼のズボンも膨らみ主張している。本人は無意識か気づいていないのか、時折当たっていたので蘇芳も気が気ではなかった。 「すまな――」 「……お願い、飲ませて」 胸にしがみついていた蘇芳が、震える小さな口を開けてねだる。 「蘇芳さん、今は少し開放的な気分になっているだけで、」 「だから欲しい。白狼、いっぱい触ってくれたから、いいでしょ? 僕にもさせて」 「――っ」  舌を出して誘う蘇芳に、一瞬たじろぐと、その隙をつかれた。飛び掛かって白狼を押し倒す。 そしてすぐに足と足の間に顔を埋めると、お尻が視界に入る。ふわふわの尻尾が嬉しそうに揺れている。  しっぽの先で、硬くそそり立った蘇芳自身から透明な糸が滴り落ちていて、官能的な光景にめまいが襲う。絶景に白狼自身も爆発してしまいそうだ。  ファスナーを下ろされ蘇芳は嬉しそうに声を漏らし、下着の上から甘噛みされた。何度も噛まれ下着が濡れていく。  蘇芳を見れば上目遣いで強請るように白狼を見上げている。

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