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九章 三
「飲んだら、さっきまでえっちしたいって思ってた欲情が収まってきた!」
「俺も少し落ち着いた。ありがとう」
お礼と同時に耳を撫でられ複雑な気分になった。
襲ったのは蘇芳の方だったことを、愚直な白狼は忘れてしまっている。
「風呂は……また体中に回ったらダメか。体を拭こう」
蘇芳はさっきまでの自分がちょっと恥ずかしかったが、段々と落ち着いてきて白狼が紅赤色の浴衣を取って戻ってきたときには少し冷静になれた。
「ごめんね」
「いや、俺の方こそ飲ませてしまいすまない」
申し訳なさそうに頭を下げる白狼。その口癖もすっかり聞きなれて、心地がいい。
「僕の方こそ、発情期みたいになっちゃって」
「俺も発情期がある。気にするな」
温めたタオルで体を拭いていく。その行為にすっかりセクシャルな意味がないのが感じて、口をとがらせてしまう。
綺麗だと、美しいと自負しているこの白い肌を前に、どうして事務的に処理していけるのか、蘇芳には不満でしかない。
「ねえ、まだ中触ってもらっていない」
タオルを放り投げ、再び押し倒そうとするが、力が戻りだした白狼から肩を掴まれ止められた。
びくともしない。
「乗っ取られた暁さん、僕の此処に指、挿入したんだよ?」
座ったまま足を開き、自分で左右に開いてみせた。白狼の鋭い瞳に見つめられ、中が熱くなる。
もっと見られたい。触ってほしい。じわっと下半身に熱が広がると、白狼は視線を泳がせ何かを探した。
そして手に持ったのは、さきほど畳に何個も落とした避妊具だった。
「俺の指は太いから、これで」
ゴムの中に人差し指をいれると、少し間抜けな印象になる。確かに白狼は指も太いが、欲しいものは先ほど、顎が疲れて感覚がなくなるほど咥えた肉茎だった。
「指ぐらい、ゴムを付けなくていいじゃん」
「もし傷つけたら怖いから、すまないが今日はこれで」
「……むう」
白狼の手ならば汚くないのに、と頬を膨らませてから少し考えた。
「はくろーう。じゃあ、ここ舐めて」
未だに左右に広げ、白狼を受け入れようと濡れてきている窄みを見せつけた。狭い肉の輪が広げられ、中がひくひくと動いているのが見えると、白狼が大きく息をのむ。
綺麗な蘇芳が、淫らな格好で強請るアンバランスさに、理性を失う寸前だ。
口淫で欲望を放ったばかりが、また熱をもって硬い芯が立ち上がっていく。
身体中が沸騰しそうになり、ネクタイを解きながら、顔をうずめた。
薄い金色の毛が鼻をかすめくすぐったい。蘇芳と同じく悪戯が好きなようだった。
舌を中にねじ込むと、火傷しそうな熱を感じた。襞を一つ一つ丁寧に濡らしていく。
唾液を含ませて、中を濡らしていくと、甘い酒のように蜜が奥から溢れてきた。
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