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十三章 七

「そうだな」  運命はここにある。二人が握っている互いの運命は、ゆっくりと交わり、今重なった。  母とヒナとマリが、山の袂から走ってきたのだろう。息を切らしてやってくる。  白狼は蘇芳を抱きかかえながら三人を迎えた。 「母さん、ヒナ、せっかく着物を作ってくれたのだが、申し訳ない」 「なんだい?」 「今から、汚すかもしれないから先にあやまっておく」  悪びれもせずにそういうと、涙を溜めた瞳に吸い付く。 「珊瑚も少しの間、頼む」 「あっはは。いいよ、いいよ、こっちで面倒見るから。だから、満足するまでイチャイチャしときな」 「珊瑚ちゃんは、私の方へおいで」 「父さんに連絡しようっと」  二人とマリと珊瑚は、足早やに戻っていく。 なので白狼も、風よりも早く蘇芳を浚うと、布団の上に寝かせ襖を閉めた。部屋中の戸を閉めても、朝日が漏れて全く暗くならなかったが問題ない。獣のように服を脱ぐと、蘇芳の上に覆いかぶさった。 「ひぁっ」  着物の合わせを強引に左右に開く。 「ふふ。くすぐったぁい」  指が、唇が、舌が触れるたびに蘇芳が布団の上を転がって笑う。  白い肌の上で、尖り可愛い色で主張しているそれを舌で舐めて転がすと、蘇芳が甘い声を漏らした。  目の前に蘇芳がいる現実に我を忘れ、早急に触れたいと気持ちがじれてしまっている。成業できていると過信していた本望も、運命の前では屈伏するしかない。蘇芳の匂い、愛しい人の体温、笑い声、それのすべてに反応し、尻尾と耳が再び狼の姿へ戻ってしまう。 「すまない。……今は制御できない」  そんな余裕が全くない白狼を、蘇芳は涙でぐちゃぐちゃの顔で幸せそうに見上げている。下着は着ていなかったので、主張し頭を立ち上がってきた熱芯が白狼の腹に当たる。何度も腹に擦りつけるうちに、先端から蜜が流れ腹の表面を滑っていく。  蘇芳ははしたなくそそりたつ熱芯を両手て隠すように握りしめてから、白狼を見上げた。 「ごめんね、女の子には変身できなかった」  クスクス笑うので、白狼は耳に噛みついた。 「ゃっ」 「それは、二度と謝らないでいい。俺は蘇芳さんがいい」 「……うん。いっぱい愛して。いっぱい、白狼をちょうだい」 「その前に」  覆いかぶさっていた白狼は、起き上がると髪を掻き上げる。  その艶っぽい仕草に、蘇芳の下半身に熱が集まっていく。白狼は恥ずかしげもなく蘇芳の足を掴むと恭しく持ち上げ、爪先に口づけた。

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