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十三章 九
自分の指で乱れていく蘇芳が愛おしくて、葛藤の中何度も欲望を振り落とす。
そして、目の前に戻ってきてくれた幸せを噛み締めるように、何度も輪郭をなぞった。
中を濡らすものを白狼は保持していなかったので、大きく足を開かせ、舌をいれた。発情期のせいか指で愛撫しただけで中は潤っていたがそれでも不安で、唾液を含ませた舌を、そそぐように中へ入れ襞を伸ばし何度も出し入れし、押し広げる。水音がくちゅくちゅと鳴り、吸い付く襞が、舌が出入りするたびにジュボジュボと卑猥な音を立てていた。
「んっ」
蘇芳の、小さな両手が白狼の頭を押さえる。顔を上げると、蜜を流し濡れて光っている蘇芳の熱芯が切なげに震えていた。そちらも口に咥えると、唾液で濡れた中に指を一本だけ入れた。 舌よりも長い指が、中のある一点を擦ると蘇芳の背中が大きく弓なりにしなった。それと同時に、口の中にどろりと先走りが溢れてきた。
「ゃ、ぁぁんっ……同時、す、ごっ、いっ」
指を大きく抜き、奥へ。そのたびに足ががくがくと震えていく。咥え先走りを何度も吸い付いて先端の溢れてくる場所を刺激する。
「くち、くち、はなして、出ちゃう、出ちゃう――っ」
いやいやと首を振る蘇芳に、白狼は大丈夫だと見上げる。その真っすぐ射貫く目を見て、蘇芳は足のつま先で布団に爪を立てながら、大きく体を揺らして果てた。
「ぁあああっ、んんんっ」
喉の奥に温かい液体が飛び散ってくる。それを飲み込み、蘇芳の顔を覗き込んだ。顔を横に背け、指先を噛みながら、涙目で白狼を睨みつけている。
「も、白狼のエッチ」
「え、あ、ああ?」
今していること自体が、エッチなのではないか、と疑問が浮かぶ。が、自分だけ達したのが悔しかったのか、蘇芳は白狼の背中に手を回す。
「はやく、白狼も中に、――来て」
蘇芳の煽りに、抵抗できるはずもなく。何度が自分で擦り、自身の先走りで濡らすと、布団をに滴るほど濡れた窄みが、大きく口を開きひくついている。
「蘇芳、さん」
大きく広げて中へ入っていくと、食いちぎられそうに狭い。さきほど蘇芳が背中をしならせた部分を、圧倒的な質量と熱で擦りあげる。
「ああ……ぁぁっん、――っひゃ、あぁあっん」
蘇芳の甘い声が漏れるせいで熱は冷めない。背中を抱きしめる手の力が籠る。額に浮かんだ汗が顎から伝い落ち、蘇芳の白い肌の上に落ちる。
「蘇芳さん、息を、息を吐いて。ゆっくり」
頬を撫でると、蘇芳はその頬に摺り寄せてくる。
「む、むり。白狼、おおき、すぎっ」
「蘇芳さん、――愛してますよ」
逆効果だったのか、蘇芳の中が強く締まる。ぎちぎちに広げられたはすが、動くことができず白狼は苦笑する。額に口づけると、眼尻に浮かぶ涙に吸い付いた。
この締め付けのまま、優しく動ける余裕はない。腹を裂かんばかりの肉茎を受け止めただけで、息を吸うのもつらそうな蘇芳を見て、白狼は汗に濡れた前髪をぬぐった。
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