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十四章 一

蘇芳の中は滴るほどに濡れていたが、それでも初めて受け入れる欲望を飲みこむだけで精いっぱい。白狼も痛みを伴わせるだろうと分かっていて動けるほど欲望を優先させたくなかった。 「今日は、ここでやめよう。無理をしたら蘇芳さんの身体が心配だ」  そう言って抜こうと身体を起こそうとしたら、蘇芳の両手が動いた。そして白狼の両頬を抓る。 「いやだ。――やめないで。怖いけど、白狼なら嫌じゃないし、白狼の熱、蕩けそうなほど気持ちいい。だから、擦ってもっと。ちゃんと何度も僕にそそいで」  腰を揺らし甘くねだる。覚悟を決めた白狼は、覆いかぶさり唇を奪うと腰を引き寄せた。  そしてしっかり掴むと、大きく引き抜き勢いよく奥まで貫く。 「ぁああっ」  天を仰ぎ、蘇芳の顔からも汗が飛び散る。もう一度、ギリギリまで抜く。 「んんっ」  真っ赤な顔で白狼を見ながら、腰を揺らす。二人を繋ぐ部分から、淫靡な水音がしぐちゃぐちゃに布団を濡らしていった。  今度はゆっくり引き抜くと、内襞をごりごり擦られ、しがみついていた足が大きく暴れた。  味わうように前後にピストンすると、食いちぎれんばかりの締め付けに白狼も爆せそうになった。 「はくろ、――好き。好き」  必死に手を伸ばし、蘇芳は泣く。 「もっと愛して。もう離れないから今日から、ずっと毎日愛してね」 「ああ、愛してる。絶対にもう二度と、離さない」  交わされた言葉は、恋人たちの間では使い古された言葉かもしれない。けれど二人には、それが真実だった。 「――っく。蘇芳さん、出、ます」 「はくろ、ひゃ、ああああっ」  指を絡め合い、肌を寄せ合い、唇を互いに求めながら、腰を大きく奥へ打ち付けると、蘇芳も足を腰に絡ませた。 ドクドクと注がれていく。その熱に、犯されながら二人は何度も互いの名を呼び、何度も体を繋げた。 交わされた愛の言葉、二度と離れないと意思が表し、二人は何度も何度も求めった。  ***

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