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十三章 十三

 代わりの酒を奉納しようとした暁が、天満酒造の酒を探すが見つからない。誰に聞こうかとあたりを見渡すが、式に夢中で誰も気にも留めていなかった。 「なあ、白翁さん、これってやべえんじゃね? 厄災の神怒るよな?」  白狼の両親と談笑していた白翁は首を横に振る。 「気まぐれに、お酒だけ持って消えただけでしょう。素直ではないのですよ、恋煩いは」  意味が分からず首を傾げる暁に、「貴方は自分の気持ちにも気づかない鈍感ですからね」とイアフが応戦していた。  式の後、蘇芳と白狼は銀山の屋敷に。白翁は黒山に戻り、式に参加した皆、見学した人外たちは白山で三日三晩、二人の結婚を祝って宴会が行われた。猫田部長が次々に酒を空けて、大変だったようだ。 「僕たち抜きで騒いで、楽しそうだね」 「……混ざられても困るだろう」  着物を慣れた手つきで脱がせながら、白狼が笑う。着物が畳に落とされたが、中から出てきた肌も真っ白な磁器のように滑らかで美しい肌だった。  脱がせ終わっ蘇芳を抱きしめながら布団の上に組み敷く。 「駄目だよ、白狼も脱がなきゃ」  足で臍を探し、見つけて突く。その足を滑らせ、高ぶって膨らみ主張している白狼の欲望を足の指先で弄んだ。 「俺は、自分にこれほど貪欲で荒々しい性欲があったのが驚きです」 「嬉しい。僕は足りないもん。毎日、気持ちいいまま気絶して、お腹も心も満たされて眠りたいもん」  全く足りないよと、わざわざ煽ってくる蘇芳に、我慢できずに白狼は抱きしめる。  壊れそうな背中は、どれほどの力で抱きしめていいのかもうわかっている。  どこが感じるのか、どの角度が好きか、何度も身体を合わせるうちに分かってきた。 「僕の中、もう白狼の形を覚えてしまったし。僕だって白狼の性感帯わかっちゃったもんね」  もたもたと脱ぐ白狼の胸に手入れ、脱がすのを手伝いながら、待てないと首にぶら下がる。ぶんぶんと大きく振って白狼の太腿を撫でる尻尾に、普段は隠している狼の尻尾と耳がまた欲望と共に現れる。 「今夜は、僕ねかせないからね」 「偶には俺も言ってみたいものです」  寝かせませんよ、蘇芳。  耳元で甘く囁くと、蘇芳は簡単に腰を抜かしてしまったのだった。   ***  指を重ね、大きく開いた足。足の指先が布団に爪を食い込ませながら、快感を味わう。 「白狼、僕」  大きな背中に手を回し、挿入される肉茎を締め付けながら、鼻に噛みついて吐息のような甘い声で強請った。 「僕、孕みたい。白狼の子が、早くほしいんだ」 「――頼むから煽らないで」  ゆっくりと挿入し、ぐちゅぐちゅといやらしい音が響く室内で、快感に苦し気に眉をしかめる白狼。その切なく艶っぽい顔に、蘇芳の体が熱をまとう。 「ほしい。もっと注いで。もっと溢れさせて」  腰に足を絡ませて、奥を強請る。  腰を掴み、引き寄せると背中が宙に浮いた。背がシーツにつく暇がないぐらい、持ち上げられ繋がった部分から放たれた精液が布団を濡れしていく。 「ああっもっと、もっと、奥に」  シーツを握りしめ、快感を逃しながら何度も強請った。  放たれた欲望で孕んだように腹を膨らませ、蘇芳はうっとりと白狼を見上げる。 「好き。白狼、大好き。ただただ一人、僕の運命」  キスを強請ると、啄むような甘いキスを注いでくれた。 「ああ。世界で一番、綺麗な俺の色」  互いの汗で、唾液で、肉茎から溢れた蜜で濡れた体を抱きしめながら声を震わせる。 「愛している」  どれほど言葉にしても足りないぐらいの愛で、満たしていく。  二人は意識を手放すまで何度も求めあい、何度も名前を呼び、愛を囁いた。

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