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十三章 十四
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「白狼って……なんであんなにキラキラしてるの」
これが種を繋いできた日本狼の自信なのだとしたら、誰にも発見される前に途絶えた紅妖狐は最初から同じ目線になれない。
朝、焦げた目玉焼きを渡しただけで「ありがとう」と微笑む白狼が格好良すぎて眩暈がした。
あまりの眩暈で、朝から気分が良くない。
心配かけないように、白狼が出勤してからヒナに救援を頼むと、サンドイッチを持って訪ねてきてくれた。
せっかく来たヒナも、第一声が惚気で呆れている。
「キラキラ、ね。そういえば白狼も倒れた蘇芳さんを見た時から、蘇芳さんもキラキラしてるって言ってたわよ」
「見る目がないね」
サンドイッチの中に甘い卵焼きが入っていて、今朝の黒点だらけの目玉焼きと比べてしまいため息が出た。それと同時に嫉妬からか吐き気まで込み上げてくる始末だ。
「ううう。だめだ。ちょっと吐きそう」
「大丈夫? 熱は? ……微熱がありそう」
額に手を当てたヒナが、慌てだす。
すぐに吐き気は治まったが、身体の奥がまだ少し熱く感じた。
「……」
テーブルに突っ伏す蘇芳に、ヒナは髪を撫でながら一言一言、噛み砕くように伝える。
「もしかしてお腹に子が来てくれたのかもしれない」
「ええええっ」
急いで顔を起こしたが、すぐに気持ち悪くなり口元を手で押さえた。
「マリちゃん、お母さんを呼んできてちょうだい」
呆然とする蘇芳に、珊瑚がやってきてお腹の匂いを嗅ぐと、数回舐めた。
「えええ、嘘、嘘、お腹に白狼の子がいるかもしれないの? うわあ、嬉しい」
「まだ分からないけど、今からお医者様を呼ぶから」
貴方は横になっていなさいと寝室に連れて行かれる。願っていたことにお腹を押さえて、胸の鼓動が布団から飛び出しそうに響いていた。
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