162 / 168
十四章 二
去年の春、蘇芳が二匹の子を産んだ。翡翠は、狼の姿。茜は紅妖狐。
白狼が、いろんな神の札やお守りを集め、八百万の神がこの屋敷の中で喧嘩をしないか不安なほどだった。
が、心配性な白狼は黒山から神を拉致してしまいそうだったのでお守りのみに思いとどまらせるぐらいがちょうどいい。
出産中も片時も隣を離れなかった。共鳴するようにそばにいてくれた。
駆け付けたイアフと暁にも驚かせられた。外国で白狼にも教えない仕事をしているので、こちらからはなかなか連絡がつかない相手が、産気づいた連絡をして一日で日本に現れたのだから。 イアフが、よく頑張りましたね、と蘇芳に泣きながら抱き着いたのが印象的だった。
「……ねえ、白狼」
「ああ、どうした?」
蘇芳の顔を覗き込むと、頬を染め艶めかしく白狼の胸を指先でつつーっとなぞった。
「僕、……春が発情期なんだけど」
「愛し合うなら、子どもたちが眠るまで待とう」
たしなめるように頬を撫でるので、その手に噛みつく。
「じゃ、なくて。――もっと注いで?」
白狼の耳に甘い息を吐きかける。内心息を飲みつつも、白狼は誤魔化す。
「蘇芳さん、俺はあの緊張感はもう二度と――」
「いやだ。白狼とのエッチは好きだけど、もっと欲しいの!」
「……あのさ、子どもたち、おばあちゃんの家に連れていくよ?」
蘇芳の大声に、珊瑚が呆れて声をあげた。人魚の力のせいなのか、二年でもうマリと同じぐらいの姿に成長して一緒に山の袂の人外専用の幼稚園に通いだした。
その珊瑚が、二人の人の耳や目を隠し、庭から出ていく。蘇芳の自由奔放さに気苦労して言うのは白狼だけではないようだ。
「はー、くろうっ」
子どもたちの姿がなくなると、白狼に跨り口づける。尻尾で足を撫でながら、ちゅ、ちゅっと啄み、可愛らしいキスを落としていく。
「ふふ。固くなってきた」
白狼の下半身をズボン越しに擦ると、熱くズボンを持ち上げていくのが分かる。
「蘇芳さん」
「僕に惚れた時点で、観念したほうがいいよ。僕、――白狼をお腹の中で感じるの大好きだから」
着物を自分で脱ぐ。ピンク色の可愛い胸の尖りを、自分で弄りながら白狼の服のボタンに手をかける。
「せめて布団を」
「やだ。待てない」
「きついのは、蘇芳さんの方だ」
「だいじょうぶ。今日は上に乗って腰を揺らしたいから」
にやりと笑うと、白狼のファスナーを下ろし下着からまだ半立ちの肉茎を取り出し握りしめた。
「蘇芳さん、いきなりは――」
「大丈夫。さっき解しておいたの」
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!