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第5話

 まるで三ツ星レストランのように豪奢な食堂にドン引きした。さすがマンモス校。さすがお金持ちの子供が通う学園。何から何までお金がかかっている。 「何食べる?」 「Aセットかな。誠はBだろう? 神楽坂は? ガッツリ食べたいならAの日替わり定食。Bは日替わりパスタとか、うどんとかそういうの」  見た目は三ツ星レストランなのに食券制なのがなんだか面白い。  食は細い、そんなに食べる方じゃない。  今日のBセットのメニューはざるそばとミニ天丼だ。 「俺もBセットにする」 「夜はそんなに食べない派? 支払いは、ここ、上のこれに学生証かざせばオッケーだぜ」  学園で財布代わりになるのは身分証でもある学生証だ。クレジット機能がついており、寮部屋のカードキーの役割も果たしている。  つまり、学生証をなくせば学園での生活ができなくなる。  理事長にもしつこいくらい「学生証は失くさないように」と言われた。  外﨑がまとめて食券を出してくると受付に行っている間に、四人席を取ってしまう。もう少しすればちょうど夕食時で生徒が増えてくる。 「圭、おせっかいだろ」 「そう思うなら止めてくれたらいいのに」 「あれでも抑えてる方なんだ。全開でいったらドン引きされて自己紹介もできないよ、って忠告済み」 「ああいうタイプ、苦手なんだけど」 「あはは……神楽坂君って意外とはっきり言うね」 「どういう意味?」 「わ、悪い意味じゃないよ!」  小動物みたいな早水はどことなくポメラニアンに似ている。 「わぁ」と入り口近くが騒がしくなる。 「なに?」 「あぁ、生徒会じゃないか?」  座ったまま首を伸ばすが、ざわめき出した入り口付近の生徒たちが一斉に立ち上がっていて見えなかった。  どうして生徒会が来たくらいで、と首に傾げた。そういえば、理事長が「人気生徒云々」と言っていたのを思い出す。  アイドルのコンサートまではいかずとも、色めき立った声を上げる彼らを理解できない。  顔良し、家柄良し、成績良しの生徒がこの学園では神様(決して言い過ぎではない)の如く崇められている。  その筆頭が生徒会執行部。この人たちに学園を率いてもらいたい! という投票制で決まる。人気投票みたいなのだよ、と理事長は苦笑いしていた。  学園で過ごすにあたって気を付けるべき箇条に、平和に過ごしたいなら生徒会と関わるべからず、とあった。  関わることなんてないだろうと思っていたが、どうやらそうは簡単にはいかないらしい。  キラキラしい生徒会御一行が、こちらに向かってきているのが見えた。明らかに目が合っている。  今からでも部屋に帰りたい。

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