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第13話
食堂の一角、風紀委員がまとまっているテーブルに氷織も混ざって夕食を取っていた。
柚子原は用事があるから、と氷織をほっぽっていったのだ。面倒を見るなら最後まで見て欲しい!
見ず知らずの風紀委員たちに囲まれて、動物園のパンダ状態だ。
メンタルにダイレクトアタックである。
「神楽木だっけ?」
「神楽坂です」
語気が強めになってしまった。
「ごめんて、そんな怒るなよ」
「怒ってません」
「いや、絶対怒ってた、」
「そんなのどうでもいいんだって! 柚子原がお世話してて、天使が執着してるのって君だろ?」
執着って。まさに言い得て妙だ。
ネクタイは緑のストライプ。二年生だ。そろ、とテーブルを見回したが二年生の風紀委員しかいない。
よくこのテーブルに放り込んでいけたな、柚子原の奴。もそもそとサラダを食しながら曖昧に頷いた。
「うーん、想像してたより地味」
「それな」
「いや、天使君には神楽坂君の秘めたる魅力が感じられたんだろ」
信じられない。なんて酷い言い草だ。
「いや、感じなくていいんですけど。アイツしつこくて嫌いだし」
「お、意外と言う口だね」
元々、身内には「キツイ性格」と言われていた。ちなみに自覚はない。「口がキツイ」とも言われていたが、思ったことを喋っているだけである。
一族は変人だらけだ。馬鹿と天才はなんとやら、というが、変人奇人だらけの一族の中で、自分はわりかし真人間だと自負している。
三年間を徒人に混じってただの人間としての生活を耐え忍べば、一人前の魔法使いだ。神楽坂の次期跡継ぎ候補として、この三年間を乗り越えなければいけない。
「神楽坂君のクラスは文化祭、何やんの?」
「……学園の立体地図模型の展示だそうです」
一瞬、なんだっけ、と首を傾げてしまった。
一年Cクラスは教室全体を使った学園全体の立体模型を作り、展示する。
文化祭当日は順番にクラスで案内係をするのだが、案内係とは言っても、ただ教室にいて展示物に悪戯されたり壊されたりしないようにという見張り役だ。
氷織は編入したばっかりということもあり、当日は役割免除となっていた。ようは、愛優が突撃してこないようにという体のいい厄介払いである。
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