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第三章・7

 美しく花で彩られた食卓と、磨きあげられた銀のカトラリーを前に、優希は要人と二人向かい合っていた。 「じゃあ、まずは乾杯♪」 「ちょっと待て。飲酒はあと3年経たないと……」 「食前酒だよ。ほんの少しだけ。いいだろ?」  髭の次は酒か。  要人、僕を置いてどんどん大人になろうとしているんだな。  それでも要人の呼んだソムリエが注いでくれたワインは、美味しかった。  すっきりとした口当たりだが、渋みが充分に感じられるしっかりした味わい。  ワインに詳しくはないが、相当いいものなのだろう。  運ばれてくる料理も、どれも素晴らしかった。  飽きの来ない味付けとソース。  そして、適度な満腹感。  考え抜いて組み立てられたコースだということが、よく解かる。 「要人の家のシェフは、大したものだな」 「そうか? ありがとう」  本当なら『優希と一緒ならどんな料理だって美味しい』と言いたい要人だったが、周囲に使用人が控えているのでそこはぐっと我慢した。

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