24 / 127

第三章・8

 食後、要人は優希に湯殿と客間を案内した。 「ゆっくりくつろいできてくれ」  そう言われて通された大理石の湯殿はとても広く、ところどころにグリーンが飾ってある。  すでに蒸気で充分に温められていたので、優希は寒い思いをせずに湯を使うことができた。  本当に、要人の言うとおり心からリラックスして手で湯船の湯をすくうと、なめらかでしっとりとしている。  保湿力の高い湯なのだろう。  湯上りには、肌がすべすべになるに違いない。 「もしかして、温泉の湯を引いてくれてるのかな」  湯上りの優希は、細やかな気配りをもって自分をもてなしてくれる要人に、心から感じ入り感謝していた。  食事に風呂と、これだけの心遣いをしてくれているのだ。  客間もさぞや素晴らしいのだろう。  そう考えつつ、ドアを開けた。

ともだちにシェアしよう!