26 / 127

第三章・10

「えっ、えええ!? ちょっと待て!」   優希は要人と自分の体との間に両腕を畳んで挟ませ、のしかかってくる体をどけようとしたが、容赦なく抑え込まれる。  もがき、暴れる優希に、要人は少しだけ力を緩めた。 「ん? あれ? 初めてじゃないよね?」  優希はもう、必死になって要人に訴えた。 「なくたって、この場合何の役にも立たないと思うんだけど!」  ええと、とそこで要人はようやく優希の上から身を起こした。 「確かに……、俺も男同士で、ってのは初めてだけど」  こくこくと夢中で首を縦に振りながら、優希は重ねて訴えた。 「そして、なぜ僕が下であることが確定事項のようになってるのかな!?」 「えっ? 俺、その逆なんて1ミリも想像してなかったんだけど……」  当然のような要人の返事に優希はひとつため息をつくと、自分ものろのろと体を起こした。 「ちょっと……、タブレットあるか?」  ベッドから降りて、タブレットを取りに行く要人。  優希は、ばふんと枕に突っ伏した。  あぁ、もうこのまま寝てしまいたい!  しかし、これは要人と付き合っていく上で重要なことであるので、しかたなく優希は再度起き上がり、戻ってきた幼馴染からタブレットを受け取った。

ともだちにシェアしよう!