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第四章・6

 昼、混雑する食堂へ要人が姿を現すと、優希が手を挙げ席を知らせてきた。  一人分の食事をトレイに準備し、要人は優希の向かいへ座った。 「お待たせ。遅くなって、ごめん」 「いや、いいんだ」  二人しかいないのに、なぜか4人掛けの席についている優希。  そして、空いている優希の隣にはバッグが置いてある。 (いつもならロッカーに入れておくはずなのに)  不思議に思った要人は尋ねてみようとしたが、先に優希の方が話しかけてきた。 「あの、さ。朝の、バレンタインデーのことだけど」  あぁ、と要人はパンをちぎりながら苦笑交じりに応えた。 「立場的に、ちょっとまずかったかな。生徒会長ともあろうものが、バレンタイン商戦に乗っかっちゃうなんて」  午後の役員会議では、おそらく議題の一つに上がるに違いない。  生徒の間におけるバレンタインデーの普及率とその弊害について、とかなんとか大仰な事を言って。

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