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第四章・7

「経済効果があるなら、少しくらい良いと思うんだけどな」  そんな会話を交わしながら見る優希の様子は、朝と同じくどことなくぎこちない。 (俺へのプレゼントがないからって、そこまで気にすることないのに)  黙って勝手に、自分だけ盛り上がっちゃったのはまずかったかな、と要人は少し後悔した。  もらって気が重くなるほど高価な品を選んだつもりはないが、別の意味で優希を苦しめることになろうとは。  バレンタインの話は無理にねじ伏せて、要人は別の話題を優希に投げ続けた。  放課後は一緒に帰ろう、と再び優希に誘われて、要人は妙な気持ちになった。    いつもなら、自分が優希に言いだすようなことだ。  なぜ、今日に限って優希の方からばかり。  昼食しかり、帰途しかり。  それでも優希と一緒にいられることは嬉しいので、要人はもちろん二つ返事でOKした。  優希が気にしないように、バレンタインの話題はしっかり封印しようと心に決めながら。

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