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第四章・10

 帰宅への道すがら、優希は時々何か言いかけてはやめる、ということを繰り返していた。 「あの、な。要人。実は……」 「ん?」 「いや、何でもない」  この繰り返し。  そんな言葉を交わしながら、要人は、優希はきっと謝りたいんだろうな、と感じていた。  プレゼント、用意してなくてごめん。来年は、きっと二人で交換しよう。  こんな感じで、一言告げたいに違いない。  しかし、恥ずかしがり屋の優希の事だ。  ごめん、までは言えても、来年は二人で、とは言えないのだろう。    恋愛に、まだまだ奥手な優希。    いいんだよ、優希。その気持ちだけで充分だ。  

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