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第四章・11

 ついに、要人の家の前まで来てしまった。 「じゃあ、また明日」  最後の挨拶をした要人。  立ち去ろうとする彼のコートを、優希の手がすばやく掴んでいた。 「え!? 何!?」 「ごっ、ごめん。要人!」  必死の顔つきと声色に、要人は驚いた。  まさか、ここまで気にしていたとは。  それだけではない。優希は自分のバッグを開くと、中から急いで赤い箱を取り出した。

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