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第六章・5

 勝ったら、要人の部屋の隅に置きっぱなしにしてある枯れたシクラメンの鉢を片づけさせようと考えていた優希だ。  心から残念に思いながら、要人の要求を待った。 「では優希くん。これから100回、俺のいう事をききなさい!」 「えぇ!?」  ちょっと待った、それはないだろう、と優希は反論した。 「古今東西、物語ではそういう願い事の仕方は、主人公はあえて避けるよ!?」 「残念。俺は現実の人間だし、主人公でもないよ」  ぶうぶう文句を垂れながらも、要人の押しと詭弁に丸め込まれ、優希は今日の今から100の願いをきくことになった。

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