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第六章・6
「無茶振りはしないから、気楽に受けてよ」
「そのように願うよ」
じゃあ、と要人はソファから降りた。
やけにニヨニヨしているところを見ると、願い事は最初から決めていたのだろう。
まったくもって、困った男だ。
「一つ目のお願い。膝枕してくれないか?」
「は?」
膝枕!?
さあさあさあ、と要人は部屋の隅に転がしていた柔らかな起毛のカーペットを広げた。
そこに上がり座り込み、隣をぽんぽん叩いて見せる。
「簡単だろう? さ、ここに来て」
これはきっと、何かの前振りに違いない、と緊張しつつ優希はカーペットに正座した。
こうして顔を寄せておいて、何か性的なことを……。
しかし要人は、優希の膝に嬉しそうに頭を乗せると、大皿に盛られた蜜柑を一つ取って渡してきた。
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