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第六章・7
「二つ目のお願い。蜜柑を剥いて、食べさせてくれ」
「なッ……!?」
蜜柑を手に、二の句が継げないでいる優希に、要人はまるで駄々っ子のように頬をすりよせて来る。
「早く早くぅ」
優希を見上げる要人の顔。
まるで緊張感がない。
すっかりリラックスした様子で、鼻歌でも歌い出しそうな気配だ。
これが我が校の生徒会長様なのだから、全くもって恐れ入る。
くすり、と優希は笑った。
手にした蜜柑の香りを大きく吸って、そのへそに指を立てた。
果汁が染み出し、香りはさらに強く二人を包んだ。
「安売りしてたから、つい買いすぎちゃったんだ」
「へぇ。皮が薄くて柔らかい。剥きやすいな」
皮を剥き、さらにその中の薄皮まで丁寧に剥いた優希は、果肉をつまんで要人の口元へ持って行った。
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