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第六章・9

 唇を離した要人は、いたずらっぽい瞳を輝かせていた。 「美味しいだろ?」 「そうだな」  優希も、素直に返事をした。  そして二人は、交互に蜜柑を剥いて食べさせあった。  手を、頬を、唇を、果汁でぐちゃぐちゃに濡らしながら、味わった。  部屋中が、蜜柑の香りでいっぱいだった。  幸せの香りでいっぱいだった。

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